ICレコーダが安定した人気を保って売れている。会議などの録音に加え、語学学習に利用している人も多い。最近では、本体にメモリーを内蔵するタイプが普通となり、安価な製品は5000円程度から買えるようになった。20年前までは、カセットテープに録音するのが当たり前だったことを考えると、驚くほどの進化だ。

 さらに、最近注目を集めているのがPCMレコーダーだ。「リニアPCMフォーマット」に対応するレコーダーで、非圧縮の録音ができるのだ。

 我々が普段聞いている音は圧縮されているものがほとんどだ。ICレコーダーや携帯オーディオプレーヤーのMP3は当然として、音楽CDも圧縮されている。

 非圧縮の魅力は、当然音がよいことである。

オリンパスのLS-10
オリンパスのLS-10(実売価格約5万円)は、この春から発売が始まった人気モデル。ICレコーダーに強いオリンパスが、満を持して投入した製品だ。

 さっそく取材に出かけたオリンパスで非圧縮の音を聞かせてもらった。確かに音は良く、高級モデルのICレコーダーと聞き比べても、違いがわかる。特にノイズの少なさは特筆ものだ。

 「確かに、人の声を録音するのであれば、ICレコーダーで十分だと思います。音楽や自然の音など、別の用途を目指して作った製品です」(オリンパスイメージング株式会社 営業本部国内営業統括部営業企画1グループ課長代理 渡邊嘉巳氏)

 PCMレコーダーを購入している主な層は、自分で演奏している音楽好きや鉄道の音などを録音したいマニアックな人達だ。

 実は、PCMで録音することは、1980年代後半からできていた。マニアックな層は、DAT規格のデジタル対応テープで録音していたのである。だが、敷居が高く、本当のマニアかプロ用の機器として普及していた。

 ところが、技術が進化し、記録媒体のコストが下がることでデジタルのテープメディアと同等か、それ以上の容量がメモリーに記録できる時代が到来した。96KHz 24bitという超高音質でも、PCMレコーダーが内蔵する2MBメモリーで1時間近く録音できる。8GBのSDカードを利用すると、3時間以上録音できるのだ。もはやDATの音質を超えているのだ。