「女性の活用」を成長戦略の大きな柱として打ち出している安倍政権。世界的な人事コンサルティング企業・米マーサーでシニアパートナーとして活躍するスーザン・ハーバーマン氏に、女性活用の意義と、日本で女性が活躍するために必要な環境について聞いた。

マーサー シニアパートナー スーザン・ハーバーマン <br />女性活用のカギ<br />社会・家庭・職場・政府のコミットメントスーザン・ハーバーマン/マーサー・シニアパートナー。米国ジョージワシントン大学修士号取得。経営コンサルティング会社を経てマーサー入社。15年以上 にわたり人事コンサルティングに従事。近年はグローバルを統括するビジネスのリーダーとして活躍。2013年よりアジア・アフリカ・中南米・中東を統括す るビジネスリーダーに就任。
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――政府は成長戦略の柱として女性の活用を掲げていますが、懐疑的な見方もあります。

 女性の活用が、企業や経済成長に寄与することは間違いありません。米国での研究からもそれは実証されています。職場に多様性(ダイバーシティ)があること、例えば男性や女性、いろいろな文化の人が入り交じることで、より深くカスタマーのことを理解することができるからです。ダイバーシティこそ成功へのカギなのです。

――日本では女性の就業率が70%に届きません。どうすればもっと上がるのでしょうか。

 ダイバーシティというのは、社会、家庭、職場、政府などあらゆる関係者がコミットメント(責任を持って関わる)しなければ実現できません。

 米国の研究によると、米国で成功している女性の場合、家庭で配偶者が家事など家族の中の役割分担で非常に協力的であることがわかっています。

 職場のコミットメントも必要になります。近年、IT技術の発展で、働き方、働く時間の柔軟性が高まっています。在宅勤務などはその一例です。日本はそうしたIT技術の恩恵をもっと活用していく必要があるでしょう。

 私の知る限り、日本では長時間労働が顕著で、オフィスにいる時間がどんどん長くなっています。その現状をどう変えていくのかが大事です。

 そのためには、夕方にいったん帰宅して家族と食事を共にし、そのあとまた仕事に戻れるというような柔軟な環境が整っていなければなりません。こうした環境を社会や家庭、職場など全体でどう実現していくのかを考えていく必要があります。