「就職に強い人材の条件」対談を
読んで思った大学と企業のズレ

 今週号の『週刊ダイヤモンド』(10月2日号)のメイン特集は「大学 徹底比較」だ。早稲田大学と慶應義塾大学の学部別就職率と偏差値(P33)といった興味深いデータがたくさん載っているが、筆者はこの特集記事の中で、「就職に強い人材の条件」と題された、岡武史・みずほFGグループ人事部長、守島基博・一橋大学教授、藤田潔・三菱商事人事部長の3人による対談に注目した。

 余談だが、藤田潔氏は筆者が三菱商事に勤めていたときに、リクルーターとして一次面接の評価を人事部に上げた学生だった(もちろん評価は「A」だ!)。かつて採用した学生が、時を経て今やその会社の人事部長になるのだから感慨深い。

 この対談の中で守島教授は、一橋大では2010年の入学生からGPA(成績評価値)制度を適用し、平均成績がA~Fの「C」程度以上でないと卒業できない仕組みを採用したと述べており、「企業の方にも知っていただきたいんです」と述べておられる。

 ところが、大手銀行と大手商社の人事部長2人が、一橋大学の試みを知らないばかりか、守島教授には申し訳ないことながら、まるで興味を持っていないご様子なのだ。2社はいずれも、毎年一橋大学から相当数の学生を採用しているはずなのに、である。

 みずほFGの岡人事部長は、「採用の時点ではエントリーシートに成績を書く欄はありますが、成績表を出して貰うことは原則ありません。学生との面接でも『勉強しかやっていませんでした』というのはあまり聞かないですね(笑)」と笑っておられる。

 三菱商事の藤田人事部長の話が興味深い。「ただ、大学教育と企業の採用の根本的な問題は、大学は専門知識を教える一方、企業の仕事は約8割が『営業』だということではないでしょうか」と述べておられる。