先日、マウンテンビューにあるグーグル本社を見学した。事業の拡大に伴って近隣のオフィスを借りており、低層の建物が50-60棟ある。真ん中には芝生を敷きつめた中庭があり、社員は食堂から自分の好きな食事を取ってきて、そこで食べている。すべて無料である。オフィスというより大学のキャンパスに近い。

 この「ゆとり」はどこから来るのであろうか?過去7年間の業績を見ると次のようになる。一度も減収減益がない。

グーグルに学ぶ、新しい日本の「ものづくり」

 グーグルというと検索を思い浮かべる人が多いが、実は収入の大半を広告収入から得ている。2012年には総収入の95%が広告収入であった。

 どこに広告があるのか、気が付きにくい。検索をしてみて、検索結果の画面をよく見ると、右側に小さな広告欄がある。この広告が検索結果と連動するように表示される。例えば「中華料理」と検索すると、中華料理のレシピ、近隣の中華料理店が検索結果として多数出てくるが、その右に広告料を支払った中華料理店の広告が現れる。ここをクリックするとその料理店のウェブサイトに飛ぶ仕組みになっている。

 検索と広告を連動させると収入が上がる道があることに、当初はグーグル自身も気がつかなかった。しかし2002年ごろに着目すると、猛スピードで広告のシステムを作り始めた。グーグルの検索システムはすべて自動運転されているが、広告のシステムも自動運転できるようにした。極力人手を介在させないシステムを作ることに同社は並々ならぬ努力をしてきた。

 当時のインターネット広告は、人目に触れる回数をベースに広告料が決まっていた。いかに広告が人目に触れても、広告をクリックして広告主のウェブサイトに来てくれなくては効果がない。そこで視聴者がクリックした場合にだけ広告料を取る新しい方式を開発し、これを「アドワーズ」と呼んだ。

 グーグルの広告料はオークション(入札)で決まる。まず、広告主が自分のビジネスに注目させるのにもっともふさわしいキーワードを考える。つぎにこのキーワードを入札する。すると同社のシステムが、落札価格の高い方から、広告欄の上から順番に並べていく。最も人目につきやすい一番上の位置を確保するには、高い価格で入札しなくてはならないわけだ。こうしてグーグルの広告収入は自然に増えていく仕組みになっている。