なお、冒頭の「稼ぎないとののしられる」というケースでは、妻は法律を犯しているわけではありません。しかし、精神的に夫を追いつめるDVであることは間違いないでしょう。

 妻からのDVが原因で婚姻関係が破綻した場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法第770条1項5号)として、離婚原因になります。また、妻からのDVは不法行為(民法第709条・第710条)に該当しますので、慰謝料を請求することもできます。

 離婚や慰謝料請求を考えている場合には、医師の診断書や怪我を写した写真、脅したり暴言を吐いたりしている際の録音等、客観的な証拠を残しておくことが非常に重要です。

気をつけたい防衛方法
確実なのは「逃げる」

 また、男性は力が強いので、女性が手を上げたからといって、自分も手を上げてしまったりすると、相手の方が大けがをして、逆に慰謝料請求をされてしまうというケースもありますので、この点は十分注意が必要です。

 女性が暴れるのでそれを止めようと押さえつけたところ、あざができてしまったり痕が残ったりしてしまい、それを以て、逆に妻が「夫からDVを受けた」と主張するケースも少なくありません。

 一般的には、まだまだDVについては、「女性が被害者」という概念が強く浸透しているため、このように女性側に暴力の証拠を持たれると、本当は先に手を出したのが女性であっても、男性に不利な結果となってしまう可能性があります。

 では、妻からDVを受けた時、男性はどうしたらよいのでしょうか。

 既に、身の危険を感じるほどに妻のDVがエスカレートしてしまっている場合には、まずは身の安全を図るため、避難することが大切です。

 妻が包丁などの凶器を持ち出した場合でも、男性である夫は、女性の妻よりも力が強いから抑えられると考え、つい自分で対処してしまいがちです。しかし、それは極力避け、すぐにその場から離れることが大切です。

 被害を受けた男性の8割弱が、どこにも相談していないという回答をしているとおり、男性の方が弁護士に相談するきっかけは、実際に離婚の決意を固めてからというケースがほとんどです。しかし、私たち弁護士は、離婚をするかどうか迷っている段階であっても、相談に来ていただければ、法律的見地からアドバイスができます。

 今回のようなDVに関しては、弁護士に話せば、被害を受けている夫も「妻は法律違反をしているんだ」「もう、我慢する必要はないんだ」と、気付く事ができるでしょう。


■弁護士ドットコムで人気の記事

妻が「不倫相手の子」を妊娠してしまった! 法律上は「夫の子」になるって本当?

離婚したいが、相手が同意してくれない……裁判で離婚するための条件は?

「夫の転勤で地方で暮らすのは耐えられない」 そんな理由で「離婚」できるか?

<弁護士ドットコムとは>

弁護士ドットコム」は“インターネットで法律をもっと身近に、もっと便利に。”を理念に、現在6,000名を超える弁護士が登録する日本最大級の法律相談ポータルサイトです。弁護士費用の見積比較の他、インターネットによる法律相談や、弁護士回答率100.0%(※)の法律特化型Q&A「みんなの法律相談」を運営。累計法律相談件数は約30万件です。独自の法的ナレッジを活かしたニュースメディア「弁護士ドットコムトピックス」では話題の出来事を法的観点から解説した記事が大手ニュースメディアのトップページに取り上げられるなど、注目を集めています。(※)2013年7月現在

<執筆者プロフィール>

竹森現紗/たけもり・ありさ

福井県出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業。金沢大学大学院法務研究科修了(法務博士)。2008年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。西村あさひ法律事務所入所。2010年八代国際法律事務所入所。2012年世田谷総合法律事務所開設。2013年事務所を銀座に移転し、アリシア銀座法律事務所開設。

 日本司法支援センター東京地方事務所法律扶助審査委員。日本プロ野球選手会公認選手代理人。経営革新等認定支援機関。一般社団法人相続診断協会パートナー事務所。

 離婚(男女トラブル)・相続・企業法務を3本の柱として業務を展開しているが、これに限らず幅広く民事事件一般に対応可能。

アリシア銀座法律事務所ホームページ