尖閣問題で冷え込んでいた日中関係に変化の兆しが見えてきた。中小企業の中国進出を支援する日中経済交流協会の正田紘会長に、日中関係の“現在”を聞いた。

日中経済交流協会会長 正田 紘 <br />尖閣とビジネスは別問題 <br />“自然体”で付き合えばいいPhoto by Masato Kato

──8月に上海で開催された「日本精品展」は大成功だったとか。

「日本精品展」は、いい製品を持つ日本の中小企業と、中国の百貨店やスーパーとを結びつけるための展示会です。来場者の8割はバイヤーで、BtoBの関係づくりを目指しています。今年で3回目ですが、出展企業は76社と昨年の57社を大きく上回り、来場者数も4万人と昨年に比べて増えました。

 何よりの収穫は、単なる展示会に終わらず、ほとんどの企業が中国側と具体的な商談ができたことです。うち4社は、展示会の期間中に先方の会社まで出向いて商談を行い、商談の翌日に仮契約までこぎ着けた会社も1社ありました。

──日中関係の冷え込みが叫ばれていますが。

 尖閣問題が起きた後、当協会の中国側のパートナーである中国百貨商業協会の楚修斎会長に会いました。この協会は、中国の商業流通をまとめる商務部傘下の組織で、精品展は、当協会と中国百貨商業協会によって共同開催してきました。私が「両国がこんな関係のときにやりにくいですよね」と切り出すと、楚会長は「全然問題ないですよ」と応じてくれました。

 今回の精品展に来たバイヤーたちも、「ビジネスは別問題」と話していましたし、日本からの出展企業も、「やはり実際に来てみないとわからない」と、中国ビジネスに対する印象を新たにしていました。