鳩山政権が新たな財源を捻出すべく、前政権が今年春に策定した14兆7千億円の補正予算の執行停止を頑張っています。10月6日の時点では2兆5千億円積み上がりましたが、その内情から“脱官僚”の危うさを垣間見ることができますので、今回はそのあたりを少し説明したいと思います。

削減率に見える官僚と大臣の関係

 補正予算額のうち執行停止になった金額の割合を各省毎に見てみますと、面白い相関関係が分かります。官僚にとって物わかりの良い大臣がいるところほど、補正予算の削減率が低いのです。

 その典型である某省庁(K省としましょう)を例にとれば、この官庁では既に幹部の人たちが以下のような会話をしていたと聞いています。

「うちに来てくれた大臣は、本当に物わかりが良くてやりやすい」

「大臣があまりに楽なので、それが外に見えないように注意しよう」

 つまり、K省では“脱官僚”が既に危機に瀕していたのです。そして、その10月6日に公表されたデータからそのK省の補正予算削減率を見ると、僅かに一ケタ台と、全省庁の中では明らかに劣等生となっています。

 官僚の特性として、一度獲得した予算や権限は意地でも手放さないように頑張ります。でも、今年春の補正予算は明らかにムダな予算の塊であり、それを大幅に削減することは、民主党政権が掲げる“脱官僚”、政治主導を示す第一歩になったはずです。

 実際に、霞ヶ関から日々入る情報から政務三役が政治主導を確立しつつあると思われる国土交通省や総務省などでは、補正予算の削減率はかなり大きな数字となっています(ちなみに、削減率が最大なのは農水省ですが、まあここの補正予算はムダなものが大半でしたので、当然と言えましょう)。