橘玲の世界投資見聞録 2013年11月14日

「ぜったいに知られてはならない」教会の秘密を守るバチカン銀行
[橘玲の世界投資見聞録]

私(デ・ボニス)の死亡時、口座001-3-14774-C(スペルマン枢機卿基金)に残る預金は、ジュリオ・アンドレオッティ閣下がお受取になり、その思慮深いご判断により、慈善事業や援助事業に使われますように。尊い神の名において、感謝いたします。

 バチカン銀行は“魔王”アンドレオッティが政界工作のために集めた裏金を秘匿し、資金洗浄し、賄賂として関係者に送金していたのだ。

教会の「ぜったいに知られてはいけない」秘密

 バチカンとイタリア司法当局の暗闘の詳細は『バチカン株式会社』を読んでいただくとして、ここではほとんど表に出ることのなかったバチカン銀行の実態を紹介しておこう。

 バチカン銀行の主要な顧客は、イタリアを中心とするカトリックの教会や修道会だ。だがなぜ彼らは、地元の銀行ではなくバチカン銀行を利用するのだろうか。

 イタリアでも教会は原則として税金を納める必要はないから、その目的が租税回避でないことは明らかだ。しかしそれでも、彼らは徹底した守秘性を必要としていた。

 カトリックの教会や修道会が切実に求めていたのは、教区の信者や、他の教区の教会関係者に自分たちの財政事情を知られないことだ。有体にいえば、(一部の)教会や修道会は神の名の下に法外な利益を手にしていたのだ。

 こうした資金を地元の銀行に預けておくと、噂となって信者たちに伝わるかもしれない。説明のできない収入は、他の教会の嫉妬や疑念を招くことになるだろう。これこそが彼らにとって、「ぜったいに知られてはならない」秘密だったのだ。

 そのためバチカン銀行は、職員をすべて聖職者にして外部の者をいっさい立ち入らせない徹底した守秘性を敷いた。こうした体質が政治家やマフィアに利用され、数々のスキャンダルの舞台になったのだ。

『バチカン株式会社』では、ダルドッツィの資料に基づいてバチカン銀行の財政状況も明かされている。バチカン市国は決算を正しく公表していないし、バチカン銀行にいたっては「教皇直属の機関」として情報公開の対象になっていないから、これは正真正銘のスクープだ。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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