解説をしっかり聞いていると、松木氏とセルジオ氏のコンビプレーであることが判った。応援タイプの解説をする松木氏は日本選手がいい位置でボールを持つと「行け~」、シュートチャンスになると「打て~」と口走る。大体はその通りにはならず、見ているこちらも「あ~あ」となる。そうするとすかさずセルジオ氏が「日本選手は形にばかりこだわって、打たないからダメなんです」と語る。辛口解説で視聴者の気持ちを代弁しているのだ。

中継の仕方で、
試合後の印象に大きな差が

 また、0-0のこう着状態で終わった前半は、NHK山本氏とセルジオ氏の評価がまったく異なっていた。山本氏はボールキープ率が高い日本を素直に評価。「得点は取れていないが、主導権を握っている日本のペース」と語ったのに対し、セルジオ氏は「日本がボールを持っても決定的なシーンを作れないのはバーレーンのペース」と解説した。視点が逆なのだ。

 もっともセルジオ氏は辛口ばかりではなかった。後半、遠藤が鋭い読みと動きで相手ボールをパスカットし日本のピンチを防ぐと「すばらしい」と一言。いいプレーをすれば正当に評価するのである。

 結局、テレビ朝日の中継を見終わった時の印象は、「勝つには勝ったが日本代表の決定力不足は相変わらず。まだまだ課題は多いなあ」というものだった。

 同じ試合でも中継によってこんなに印象が違うのだ。

 どちらがいいと判定するつもりはない。日本代表を熱烈に応援している人にとっては、その思いを代弁してくれるテレビ朝日の中継に共感するだろうし、日本代表の戦いぶりを自分の目で冷静に分析したい人はNHKの中継の方がいいだろう。

 ただし、ここに興味深いデータがある。それは「北京オリンピックの視聴率トップ10」。これを見ると、3位の女子マラソン(日本テレビ)以外はすべてNHKの中継が占めており、NHKの独り勝ち状態。民放各局はタレントを起用するなど派手な演出で盛り上げを図った。が、それは結果に結びつかなかったのである。

 視聴者はテレビ局の“仕掛け”を見抜いており、「スポーツに過度な演出は必要ない」と思うようになっているのではないだろうか――。ちなみに筆者は、今後のワールドカップ予選を民放とNHKの両方が中継した場合、NHKを選ぶ。