羽田空港の発着容量拡大に合わせて、羽田までの輸送力増強に傾注してきた京急電鉄。成果は如実に表れている。鉄道への投資が一段落し、次は品川での不動産開発が注目される。

 羽田空港のポテンシャル(潜在能力)に注目が集まっている。

 2010年に4本目の滑走路が完成し、近年、発着枠を拡大させてきた羽田空港だが、国土交通省は、20年の東京オリンピックに向けてさらなる容量拡大を検討し始めた。航空会社にとって、都心に近く利便性の高い羽田路線はドル箱となりやすく、発着枠が拡大するたびに争奪バトルが繰り広げられている。

 この“羽田ブーム”を追い風に、第2四半期(13年4~9月)の業績を上方修正したのが京急電鉄である。営業利益は期初予想の114億円から152億円に、経常利益は同88億円から129億円、当期利益は同50億円から79億円に上振れした。

 通期も増収増益の見通し。羽田空港駅(国内線ターミナルと国際線ターミナルの2駅)の利用者が前年同期より1割伸びており(図(1))、これが好決算につながっている。

 過去、京急電鉄は、羽田関連に投資を集中させてきた。通常、鉄道事業への投資は年間200億円程度であるが、05~09年度の5年間は羽田関連の投資が続き300億円に増えた(図(2))。

 具体的には、東京都が2000年から交通渋滞緩和のために着手した「京急蒲田駅付近連続立体交差事業」に参画し、総事業費1892億円のうち約310億円を負担した。また、10年に羽田空港に国際線が復活したのに合わせて、150億円を投じて「羽田空港国際線ターミナル駅」を開業した。