ベトナム 2013年12月11日

バイク乗りの天敵・交通警察官との闘い・前編【ベトナム・ホーチミン市のトンデモ交通事情・その3】

「すべて日本語で対応」作戦は大成功!

 しかし、このとき、私はどうしても納得できなかった。私の左側を走っているバイクもたくさんあったし、私はセンターラインを超えていないと思っていたからだ。

 警官は厳かな顔をして、「免許証を出しなさい」と命じた。とっさに私は日本語で、「すいません。私は旅行者です。ベトナム語が分からないんですけど」と答えた。警官がひるむのが分かった。途中から警官は、片言の英語を交えて説明をしてくれたが、その後も私は全部、日本語で通した。

 後ろに控えた彼の相棒が、「彼は外国人なのか?」と声をかけてきた。
「そうなんだ。日本人で、ベトナム語は分からないんだってさ」
「英語は?」
「それが、こいつ、英語も分からないみたいなんだよ」

 当時はまだ旅行者としてベトナムに通っている状態だったが、彼らふたりが交わしているベトナム語程度なら十分理解できた。しかし、まったく分からないフリをして、ニコニコと笑顔を保ち続ける。

 結局、警官は諦めて、苦笑いをしながら「行っていい」と手を振ってくれた。思わずベトナム語で「ありがとう」と言いそうになったが、それを飲み下して私はバイクを発進させた。

 ただ、この1週間後くらいである。前回捕まったところからすぐ近く、ハイバーチュン通りを走っているときに、警官に止められた。検問だったらしい。

 免許を見せろと言われた。ベトナムの運転免許証は持っていなかったが、日本の運転免許証を持っていたので、それを見せるために財布を取り出したところ、警察官は、免許証をちらっと一瞥した後、私の財布の中に入っていたお札を全部、ごっそりと抜き取って、「はい、行ってよし!」と放免された。もちろん一週間前とは全然違う警官だったが、前の週の仇を取られた感じだった。

 それ以降、警官の前では絶対に財布は出さないようにした。私は普段から財布とは別に、小額紙幣をマネークリップにはさんで持ち歩いている。これを見せて「すいません、これだけしかないんですけど」というと、警官は「仕方ないか」という感じで、マネークリップの紙幣だけを持っていく。そうすれば、被害は少なくて済む。とはいえ、幸いにしてそんなにしょっちゅう、警官に止められたわけではない。年に1~2回というところだ。

 このように交通警察との闘いも、年月を重ねるにつれ、私も次第に知恵をつけてきたのである。

交通標識は、見れば大体意味は分かる。これは言うまでもなく「右折禁止」【撮影/中安昭人】
3輪車および4輪車の通行を禁止する標識【撮影/中安昭人】
こちらは2輪車の通行禁止標識【撮影/中安昭人】
下の青い標識は見慣れないだろう。これは「この先にロータリー交差点があります」の意味【撮影/中安昭人】


(文・撮影/中安昭人)

筆者紹介:中安昭人(なかやす・あきひと)
1964年大阪生まれ。日本での約15年の編集者生活を経てベトナムの大手日系旅行会社・エーペックスベトナムが発行する「ベトナムスケッチ」(現地の日本語フリーペーパー)の編集長として招かれ、2002年7月にベトナムへ移住。その後独立し、出版および広告業を行なう「オリザベトナム」を設立。2000年に結婚したベトナム人妻との間に8歳になる娘が1人おり、ベトナム移住以来、ホーチミン市の下町の路地裏にある妻の実家に居候中。

 

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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