現場からの改善アイデア、現場同士の助け合い、現場の声への本社の対応。前回に引き続き、8百拠点に散らばる現場同士、そして現場と本社をつないで、成果を上げている株式会社損害保険ジャパンの社内SNSを取り上げる。

 危機感が背景にありトップダウンで実行された損保ジャパンの社内SNSには、他にあまりみられない特徴がある。今回は、ユニークな取り組みと成功の条件について議論してみたい。

職場を代表するコミュニケーターに
自由な発言の場を

 2~3か月の準備期間を経て2006年10月にオープンした損保ジャパンの社内SNS「社員いきいきコミュニティ」には、次のような特徴がある。

・任命制をベースにした参加者選び
・ハンドルネームや匿名コミュニティなど心理的抵抗や壁をなくす工夫
・いつでも使える環境づくり

 損保ジャパンでは全社SNSの発足にあたり、まず任命制をとった。1万数千人の組織で最初から大勢が参加すると対応できない、そして職場から全員が参加するとなかなかものが言いにくくなると考えたからだ。

 営業部門と事故対応サービス拠点から各一人を互選で決め、860人が「任命」されてSNSに参加した。条件は、自宅にパソコンを持っていること、ネットに発言ができることだ。互選の理由は、自らがやる気があることと、職場を代表して発言するためである。メンバーは、「コミュニケーター」と呼ばれ、他の社員からの質問をQ&Aに投じるなど、職場の声をまとめる役割を担う。