アサヒビールは、天候不順で不調だった1~9月期の売り上げ落ち込みを第4四半期で挽回する強気の予想を示す。その根拠を聞いた。

アサヒビール社長 小路明善 <br />ギフトと業務用でビール回復 <br />12年ぶりの前年超えを狙うPhoto by Masato Kato

──ビール類の年間(1~12月)の売上高はどうなる見通しですか。

 8月と9月が天候不順で、市場全体では第3四半期までの累計課税出荷数量は過去最低でした。第4四半期(10~12月)は、昨年の減少要因となった選挙が今年はないものの、落ち込みを挽回するには至らず、全体では前年を割る見込みです。一方、当社も、歳暮向けギフト商品の受注や業務用の樽売り上げが好調で、ビール類売上高は今年、12年ぶりに前年を上回る可能性があります。

──アルコール飲料での消費者嗜好の多様化が進んでいます。他社と比べてビールへの売上高依存度の高いアサヒはどう対応しますか。

 スーパードライブランドの絶対量を最低でも現状維持しながら、それ以外をどう伸ばすかが課題。酒類市場全体が落ち込んでいる中、ワイン、洋酒、RTD(低アルコール飲料)など、伸びているジャンルで、市場を上回る成長率を確実に維持することです。ここでは「カテゴリー・ナンバーワン」か「圧倒的ナンバーツー」、または個性のある「オンリーワン」でなければ生き残れない。ビール以外でこうしたカテゴリーをいくつつくることができるかが要です。

 経営としては、ブランド資産を最大限活用し、そのポテンシャルをどう引き出すかに注力します。新しい商品を乱発することは流通にも迷惑ですし、リスクも大きい。スーパードライや、ウイスキーの中核ブランドのブラックニッカ、ジャックダニエルなどでエクステンション(派生品)を発売したのはこのためです。