自民党一強体制のもとで、強行採決が繰り返された第185回臨時国会。民主主義の基本である熟議による合意形成を無視し、数の論理で重要法案を次々と成立させた国会運営は、歴史に汚点を残したといっても過言ではないだろう。

 今国会で強行採決されたのは、多くの人が採決撤回を求めて国会を取り囲んだ特定秘密保護法だけではない。

 国家安全保障会議(日本版NSC)設置法、産業競争力強化法、国家戦略特区法、改正生活保護法、改正自衛隊法、農地中間管理機構法、高校無償化廃止法、国土強靭化法……。

 大資本を優遇し、庶民の切り捨てと見られる法律が数多く成立したが、医療や介護分野でも健康の自己責任が追及される「社会保障改革のプログラム法」が12月5日の夜に参議院本会議で可決された。

社会保障制度改革推進法は
自民党案の「丸のみ」だった

 プログラム法の正式名称は、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」といい、医療や介護、少子化対策などのおおまかな検討項目、改革の実施時期と関連法案の国会提出時期の目途を明らかにしている。

 建前上、プログラム法は昨年11月~今年8月にかけて審議された社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議)の報告書を踏まえて作られたことになっており、一般紙でも同じ説明が繰り返されている。

 だが、国民会議報告書でまとめられた「あるべき社会保障の姿」の崇高な理念は、プログラム法ではすっかり薄められ、別物と見まがうものになっている。

 なぜ、この理念の変換が行われたのか。その出発点にあるのが、2012年8月に成立した社会保障制度改革推進法だ。