過去の日中関係悪化と違うのは
「本当に軍事衝突が起きかねない」ということ

 2012年9月、日本政府が尖閣諸島を国有化したことをきっかけに、中国で反日感情が爆発。中国各地で大規模な反日デモが起こった。それを報道で見た日本国民にも、反中感情がわき起こり、対抗するように日本でも反中デモが起こった。

 12年は日中国交正常化40周年、13年は日中平和友好条約35周年という、日中両国にとって節目の年だった。ところが、両国政府の外交は停止状態で、民間の交流行事も延期や中止になるなど停滞。火がついた両国民の感情はいっこうに治まらないまま14年を迎えた。まさに日中関係は戦後最悪の状況だ。

 これまでにも日中関係が冷え込んだことはあった。しかし、13年の1年間を振り返って過去と違うのは、日中間で本当に偶発的な軍事衝突が起きかねない、ということだ。

 13年2月、東シナ海で中国海軍の艦船が射撃管制用のレーダーを照射したという事件が起きたのは記憶に新しい。また防空識別圏を一方的に設定するなど、一歩間違えれば、取り返しのつかない事態になり得る状況にある。

尖閣諸島問題と歴史認識問題
火種として今後も燻り続ける

 中国側が反日感情を抱く代表的な原因は、「尖閣諸島問題」と「歴史認識問題」の2つだ。尖閣諸島について「そもそも釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国古来の領土である」と主張。歴史認識については、安倍首相が過去の侵略と植民地支配を謝罪した「村山談話」を見直し、侵略のニュアンスを弱めたいという考えを問題視している。

 13年12月26日、安倍首相が靖国神社に参拝したことで、中国は改めて安倍首相の歴史認識問題を猛烈な勢いで非難している。この2つは日中関係に必ずつきまとう避けられない問題として、今後も存在し続けるだろう。