「想像以上の苦境だ。前期はなんとか利益を捻出できたものの、今期はいったいどうしたらいいのか・・・・・・」

 最近、このように頭を抱える証券会社が増えているという。

 証券各社は、今まさに逆境に立たされている。米国のサブプライム問題に端を発する株式市場の長期低迷により、投資家離れが進んで儲けが落ち込んでいるからだ。

 その影響は思いのほか大きい。2008年4-6月期の各社の業績は、前年同期と比べて軒並み大幅減益となった。たとえば、最大手の一角である大和証券グループ本社は対前年同期比約78%、日興コーディアル証券は同約34%も純利益が減った。

減益や赤字に陥る証券各社
サブプライム損失処理と市場低迷の憂鬱

 市場低迷以外の「重荷」も大きい企業はいよいよ苦しい。サブプライム絡みの証券化商品の評価損が膨れ上がったみずほ証券は約78億円、モノライン(金融保証業務の専門会社)絡みの特別損失が大きく、インサイダー事件の余波も響いた野村ホールディングスにいたっては、約766億円もの純損失(最終赤字)に陥っている。

 株式市場はなおも右肩下がりを続け、日経平均株価は8月下旬についに1万3000円を割り込んだ。今後も市場が容易に回復するとは思えず、各社の不安は広がりつつある。

 ところが、公表される決算数字から垣間見えるのは、彼らの苦境ぶりのほんの一端に過ぎない。「決算もさることながら、本当の台所事情はさらに厳しい」と声をひそめるのは、ある証券関係者。実は、ある「奥の手」を使って減益幅を縮小させたり、赤字を回避しているケースも多いというのだ。