都心に近く利便性が高い羽田空港。その発着枠は航空会社にとってドル箱だ。JALを抑えて、羽田枠の獲得戦に2度続けて勝利するもANAはさえない。JAL再生による業績格差はあまりにも大きいと嘆くが、課題は自らにこそある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

 行政訴訟も辞さない──。日本航空(JAL)が監督官庁の国土交通省に盾突いた。

 2014年3月30日から、羽田空港の国際線が31便増える。この発着枠の配分において、国交省は全日本空輸(ANA)に11枠配分する一方、JALは5枠にとどめた。羽田の発着枠をめぐる争いは、12年秋の国内線枠の配分に続くもので、そのときもANA8枠に対してJALは3枠しか与えられていない。

 通常なら、航空大手2社に同数が配分されるところだが、続けてANAが優遇されたのは、公的支援を受けながら経営再建したJALと、ANAとの間で業績が大きく開いたため(図参照)。穴埋めとして“権益”ともいえる発着枠が使われたのだ。

 だが、有識者の間では、企業再生や業績の問題と、公共財である空港の発着枠を同列に扱うことへの異論が多い。JALは、「決定プロセスが不透明、配分の是正を申し入れる」(植木義晴・JAL社長)と国交省を非難し、行政訴訟も辞さない緊張関係にある。

 その傍らで、羽田権益を手中に収めたANAは、ほくそ笑んでいるかと思いきや、JAL以上に不満をため込んでいる。

 羽田の国際線は1便で年間10億円の利益をもたらすといわれる。今回、ANAはJALより6枠多く得ており、年間60億円、20年で1200億円の営業利益をANAにもたらす、というのが国交省の試算だった。