結局今年の賃上げは、輸出型大企業を中心に一部がベアに応じることによって、平均してみれば、ゼロが続いたベア率がわずかに上昇する可能性がある。それはせいぜい0.2~0.3%といったところだろうが、それでも2001年以来の高さである。また、2013年の円安や景気回復で利益を増やした企業がボーナスを増やすケースも多いだろう。その結果、両者を合わせた賃上げ率は、大手企業を中心に2%台半ばに達する可能性がある(日本経団連の調査によれば、2008年~12年の平均は1.96%だった)。
しかし一方で、派遣労働の対象や期間に対する制約の縮小を目指す労働者派遣法改正の動きを受けて、正社員減少、派遣社員増大という動きは止まらないと考えられる。その結果、これまでもそうだったように、派遣労働者を含めた一人当たり賃金の伸びが、主要企業正社員の賃金の伸びを大きく下回る状態が今年も続く可能性が高い【図表4:賃上げ状況】。

景気の自律回復をもたらす賃上げ実現までの道のりは遠い。
<参考文献>
内閣府 「平成25年度 年次経済財政報告」(2013年7月)
内閣府 「経済の好循環実現検討専門チーム 中間報告」 (2013年11月)
大嶋寧子 「不安家族」 (日本経済新聞出版社、2011年12月)
吉川洋 「デフレーション」 (日本経済新聞出版社、2013年1月)
Ganelli, Giovanni "Reforming Dual Labor Markets in Advanced Economies" ( IMF Research Bulletin, December 2013, International Monetary Fund )
International Labour Office "Global Wage Report 2012/13" (2013)
Marc Levinson "U.S. Manufacturing in International Perspective" ( Congressional Research Service, February 2013 )
