この当時はまだ竹輪型の蒲鉾で、現在のような板付きの蒲鉾が生まれたのは、桃山時代のこと。

 ただし、この時はまだ焼き蒲鉾でした。

蒲鉾田楽
【材料】蒲鉾…7㎜幅×2枚/赤味噌…小さじ1/白味噌…小さじ1/粉山椒…少々
【作り方】①赤味噌、白味噌、粉山椒を練る。②蒲鉾の片面を軽く焦げ目がつくまで焼き、ひっくり返したら①を塗って焼く。

 『江戸料理集』という、延宝二年(1674年)に刊行された江戸時代初期の料理書刊に、「萬《よろず》かまぼこの事」として、非常に詳細な蒲鉾の作り方が書かれています。

 この頃の蒲鉾作りは、魚のすり身にイカのすり身を混ぜて弾力を出したようで、現在も魚のすり身で手作りで蒲鉾を作ろうと思えば、よほど新鮮な魚を使わないと、弾力が出づらいです。

木の葉丼
【材料】蒲鉾…3㎜幅×5枚/卵…大1個/温かい御飯…1杯分/三つ葉…1束/出汁…50ml/酒…小さじ1/みりん…小さじ1/醤油…小さじ1/七味唐辛子…適量
【作り方】①蒲鉾は半分に切る。三つ葉は根を切って4㎝程度に切る。②丼鍋に出汁、酒、みりん、醤油を入れて温め、中火で蒲鉾を煮る。③溶き卵を回し入れ、中央に三つ葉を乗せて蓋をし、弱火で1分程度煮る。④丼に御飯を盛り、②を乗せる。七味唐辛子を添えて。

 フードプロセッサーのない時代、魚やイカをすり身にして光沢が出るまで練ることが、どれだけ大変だったことか。

 獲れすぎた魚を保存するためとはいえ、手間暇がかかる分、蒲鉾は高級食材でした。

 また当時は、現在の蒲鉾のサイズを「大板蒲鉾」と呼び、片木につけた1人分サイズの蒲鉾を「小板蒲鉾」として酒の肴に食べられていたようです。