この給与所得控除がきわめて不公正なほど大きかったために、筆者は2001年ごろから「プチカンパニーを作って、個人事業者から法人経営者になりましょう」とあちらこちらで言ってきた。ここで詳細は省くが、プチカンパニーの役員に奥さんなど身内の人をつければ、103万円(給与所得控除65万円+基礎控除38万円)まで給料を出しても所得税がかからない。給与所得控除を使った初歩的な節税テクニックである。

給与所得への増税

 財政難に喘ぐ国は、この点を見逃さなかったようだ。2013年から、年収1500万円以上の給与所得者は、給与所得控除に245万円の上限が設けられたのである。

 この結果、高額の報酬をもらっている役員や高給サラリーマンは、2013年から税金の負担額が増えている。給与所得2000万円では15万円、3000万円では37.5万円、5000万円では87.5万円の増税となり、給与所得が多い人にとってはかなりの増税になっているのだ。去年まで年末調整で還付があったのに、2013年の年末調整では還付額が少なくなった人は給与所得控除が減ったからである。

 さらに、平成26(2014)年度税制改正大綱においても、引き続き給与所得控除の見直しが行われた。控除の上限が適用される給与収入1500万円(控除額245万円)が、平成28(2016)年より1200万円(控除額230万円)に、平成29(2017)年より1000万円(控除額220万円)に引き下げられることとなった。

特定支出控除は使えるか

 給与所得控除に上限を設ける一方で(ムチ)、特定支出控除が見直されるようになった(アメ)。特定支出控除とは、サラリーマンにも確定申告の道を拓くものとして1987年(昭和62年)に創設されたもので、給与所得者が特定の支出をして、その合計額が給与所得控除額を超えるとき、その超える金額を給与所得控除後の金額から差し引ける、というもの。

 対象となる支出は、1)通勤費、2)転勤に伴う引っ越し費用等、3)研修費、4)一定の資格取得費、5)単身赴任者の勤務地と自宅の往復旅費。