転職によってステップアップしていく人がいる一方で、どんどん落ちていく人もいる。その差は、その社員の「意識のあり方」にあるとも言える。落ちていく人は、意識を変えない限り、次の職場に移っても、形を変えて同じことを繰り返す可能性が高い。

 連載4回目は、上司や周囲の反感を買い、会社を次々と変わるもののどこでもうまくいかないという、象徴的な「はい上がれない負け組社員」を紹介しよう。

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■今回の主人公――はい上がれない「負け組社員」

 石田隆雄(32歳)仮名

 有名私立大学の法学部を卒業後、大手水産会社や中堅不動産会社で営業マンとして働く。いずれの会社でも成績は悪く、上司や周囲からひんしゅくを買う。3度目の職場に特殊法人を選んだものの、さしたる理由もない転職だけに、今回も失敗しつつある。
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(※プライバシー保護の観点から、この記事は取材した情報を一部デフォルメしています)

まるで絵に描いた「負け組社員」?
営業成績最下位の“DQN営業マン”

 大阪支社のオフィスに怒号が響く。営業課長の澄川(46歳)が、石田隆雄を叱りつけている。

 「契約が取れた? その言い方は違うだろう!“契約を取った”と言うのが正しいんだ」

 「……」

 「お前が全然、契約を取れないから、俺が取ってやったんだ。もうここに来て、3年目だろう? だから、お前はDQN(ドキュン)とバカにされるんだよ!」

 ことの発端は、石田が上司である澄川に「契約が取れてよかったですね」と声をかけたことだった。澄川は、途端に怒り始めた。DQNとは、若い人たちがよく使う言葉で「落ちこぼれ」を意味する。