東京ガスが4期連続で増収となる見込みだ。本業の都市ガス事業が伸びているほか、新たに牽引役となるのは電力事業だ。2年後の電力自由化を前に、さらなる成長が見込まれる。

「電力事業の拡大、エネルギーを賢く使う“スマート化”を従来以上に積極的に行いたい」

 1月6日、社員を前にした年頭のあいさつの席で、東京ガスの岡本毅社長はこう述べた。2016年に開始される電力の小売り事業の全面自由化を見据えた発言だ。

 同社の業績は、好調が続いている。13年度第2四半期は過去最高の純利益を計上。通期では、営業利益は2年連続、売上高は4年連続で前年度を上回り、過去最高になる見通しだ(図(1))。

 好調の第一の要因は本業である都市ガス販売の伸びだ。13年度第2四半期は、都市ガスの販売量は伸び悩んだものの、円安を受け販売単価が上昇したことにより、販売額は前年同期比5.6%の伸びとなっている。

 ただ、販売単価が上がったのは、為替や資源価格による調達価格の増減を3~5カ月後に、ガス料金に自動反映できる「原料費調整制度」によるもの。第1四半期を見てみると、円安の影響で原料となるLNG(液化天然ガス)の調達価格が上がり、営業利益は10%以上落ち込んでいた。

 しかも、東京ガスは、電力会社が相次いで電気料金を値上げする中、13年12月に料金の値下げ(2.09%)に踏み切っており、今後、都市ガス販売で大きな利ざやが稼げるわけではない。

 そこで、次なる成長の牽引役と目されているのが、都市ガス販売以外の事業だ。図(2)は、電力販売とLNG販売という、都市ガス以外の事業の売上高と営業利益率を示したグラフだ。特に、電力販売の売上高が10年度以降、急速に上がっているのがわかる。

 さらに、注目すべきは、その利益率の高さだ。08年度まで赤字の期も多かった電力販売だが、近年は大きな伸びを見せ、12年度には13.5%と2桁の営業利益率になっている。今期はさらなる増益となる見通し。売上高に占める割合こそ、まだ5%と小さいものの、大きな利益の源泉となる潜在力を示している。