前回は、今年1月から始まる少額投資非課税制度(NISA)について、投資から得られる運用益が非課税になるという制度の性質上、非課税メリットを享受するには大きな運用益を狙う必要がある点を指摘し、(1)非課税枠は投資元本で毎年100万円、5年間の投資元本は合計500万円が上限、(2)非課税対象は上場株式等・公募株式投信の配当・譲渡益、(3)ある年の非課税枠は一度売却すると再利用できないなど基本的なポイントを説明しました。投資の税金20%(*)がかからないNISAは非常に“お得”な制度である半面、注意が必要な点もいくつかあります。そこで、今回はNISAを活用する際のポイントや留意点についてお話しします。

NISA活用の三つのポイント

 NISAを活用する場合の第一のポイントは、既存の証券口座からそのまま移管することはできず、新たな投資資金が必要になることです。この背景には、預貯金口座に長年眠る膨大なお金を成長マネーとして活用したい、また預貯金から投資にシフトすることで国民の老後資金形成をサポートしたいという国の思惑があるようです。既存の証券口座のシフトだけでは預貯金口座に眠る資金は動かないため、NISAでは新規資金しか受け入れられません。もちろん、お金に色はないので、既存の投資資金をNISAに入れることもできますが、その場合は一度売却してNISA口座で再び購入する必要があります。

 第二のポイントは、投資元本ベースで毎年100万円が上限なのですが、一口座あたり非課税期間が5年間であり、口座開設ができるのが2014~2023年の10年間であることから、最大の非課税枠は2018~2023年で500万円となります。逆に言えば、それ以外の年は非課税枠の合計がそれよりも小さくなります(例えば、初年の2014年は1年分の口座しかないため、非課税枠は100万円のみです)。