これを受けて、自民党は27日、急きょ、公務員制度改革委員会の3回目の会合を開き、政府原案を原案通り了承した。

 不思議なのは、24、25日の会合で政府原案に強硬な異論を述べていた反対派議員の欠席が27日は目立ったことだ。会議の開催が当日の朝になって連絡されたのが響いて、反対派議員の多くが日程調整を出来ず欠席したためという。連絡がこれほど遅れるのは異例のことという。

 さらに30日。国家公務員制度改革推進本部の顧問会議で、前述の堺屋太一氏のほか、評論家の屋山太郎氏、ジャーナリストの川戸恵子氏、学習院大学法学部教授の佐々木毅氏らが政府法案に真っ向から反対を表明した。

 しかし、麻生首相の“指導力”に推され、政府は31日、ついに問題の政府案を閣議決定した。その該当部分である内閣法第19条の改正箇所の条文を記すと、

内閣官房に、内閣人事局を置く。
3 内閣人事局に、内閣人事局長を置く。
4 内閣人事局長は、内閣官房長官を助け、内閣人事局の事務を掌理するものとし、内閣総理大臣が内閣官房副長官の中から指名する者をもつて充てる
――となっている。

 この“指導力”の発揮には、「首相、薄氷の指導力演出」(日本経済新聞)、「首相は官僚の守護神か」(毎日新聞)といった批判的な記事が相次いだ。

 しかし、改革派の敗北は明らかだ。冒頭の川村官房長官の発言で紹介したように、麻生内閣は3人いる副長官のうち衆参両院出身の2人の副長官を内閣人事局長に充てる考えはない。結局のところ、内閣人事局長は、1月に漆間副長官が最初に目論んだ通り、同氏が兼務する方向なのだ。つまり、国家公務員の幹部について、今回の改革が目指した政治や内閣主導の人事は絵に描いた餅に終わり、引き続き、官僚の頂点の座にある者が官僚の人事を行う点では何の変化も期待できないというのである。

 ただ、このまま、漆間副長官の野望の実現を認めてはならないという勢力が存在しないわけではない。

 その中心人物が、前述の中川秀直氏だ。中川氏は法案の閣議決定と同じ31日に、塩崎氏ら10数名の議員と会合し、別途、議員立法を行い、官房副長官の1名増員を実現し、この官房副長官を内閣人事局長とすることを目指す模様だ。この案に、民主党の大勢が合流する以外、漆間副長官の野望を粉砕できる手立ては残されていないのが実情のようだ。政局に明け暮れず、政治を官僚の手から取り戻す改革を実現して欲しいものである。