いつまでたっても安泰にならない会社――。これが、投資家や消費者がアマゾンに対して抱いている見方だろうか。

 オンライン・ブックストアとしてスタートして13年。ドットコム・バブルもくぐり抜け、今や多数のショップを傘下に構え、ユーザー数も着実に増やしているアマゾンだが、そのビジネスモデルや戦略に疑問を呈する人々が引きも切らない。その理由は、創業者でCEOのジェフ・ベゾスのイノベーション体質である。

 オンラインショップを経営してはいるが、実はベゾスは根っからのテクノロジーおたく。マーケティング的な方法でおカネをかけて客集めをするよりも、思いもよらないテクノロジーを開発して、それで人々の生活を便利にしようと企むタイプだ。

 アマゾンのブックストアだけ見ても、ワンクリックや「おすすめ」リスト、本の中身を一部閲覧できる仕組みなど、ここから生まれてショッピングの定番になった方法論は多い。

 だがそうした画期的な発明をする分、あまりにも大掛かりな技術投資が必要であり、会社の収支バランスを悪くさせているのではないのかという批判が続くのだ。

 アマゾンは、2002年に初めて黒字となり、2006年以降は株価も総じて上昇傾向。ここ数四半期は40%前後の収入増をマークしているが、物を売るだけのオンラインストアにとどまらず、ダウンロード形式の音楽やビデオショップにも手を広げ、さらに最近になってウェブサービス、電子書籍リーダーの「キンドル」の開発・発売まで、オンラインストアからは大きく逸脱したビジネスにも手を出している。

 そもそもブックストアの割引率や無料の配送サービスなどを見ているだけでも、かなりの出血サービスを展開していることが分かる。

 そうした批判に対してベゾスは、「こっぴどく批判をする同じ人物が、アマゾンの熱烈なユーザーであることはよくある。それほど楽しんで使ってもらっているならば、われわれが間違っていることなどあり得ない」と、米国メディアとの最近のインタビューで自信満々に答えている。