フィリピン在住17年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する志賀さんのマニラレポート。マニラ郊外にある庶民派ショッピングセンターにあふれる、時計やバッグのレプリカグッズ。中には10万円の値がついた時計も。ここにもコピー天国アジアの姿があった!
子どもの教育のため母子でマニラに暮らしている方のご両親が、孫の顔を見にやってきた。観光には興味がないというので、ボニファシオ・グローバル・シティとアメリカン・セメタリーで近代フィリピンの勃興を視察したあと、ショッピングをエンジョイしてもらおうと掘り出し物のメッカ、グリーンヒルを案内した。
マニラ郊外にあるグリーンヒルは庶民のショッピングセンターで、真珠などの宝石店のほか、レプリカ(パチもの)の店も多い。店先にはプラダやコーチのバッグがずらりと並んでいる。値段交渉の仕方を聞かれたので、「言い値の半分で交渉すればよい」と答えたが、相手も限界に近づくと梃子でも値段を下げなくなるのでその辺が折り合いとなる。


ふと見ると、先日私が衝動的に買ったブランド時計がテーブルの上に置かれていた。たしか1200ペソ(約2700円)で買ったはずだが、値段を聞くとなんと4500ペソ(約1万円)だという。とんでもないと拒否すると瞬く間に値段が下がって2個で2200ペソ(約5000円)になった。このように同じ店に何度も通うと、だんだん仕入れ原価が見えてくる。

フロアの奥の突き当りを右に折れ、真珠の装飾品の店を通り過ぎると、ふたたびバッグやカバンの店が現われる。そこにかなりの数の時計屋があり、ショーケースにはいかにも高そうな時計が収まっている。
オーディマ・ピゲAUDEMARS PIGUETとパティック・フィリップPATEK PHILIPPEはスイスの最高級腕時計のブランドだが、それに比べるとロレックスやカルティエは一山いくらの扱いで、ショーケースに束になって並べられ ている。ここに陳列されているのは従来のクラシックなものではなくて、いかにも現代的で重厚なデザインだ。

まず、右側のショーケースのHUBLOTというあまりなじみのないブランド時計の価格を聞いてみた。そしたらなんと、「2万ペソ」という答えが返ってきた。日本円に換算して4万5000円だから、正規品を買ってもじゅうぶんに高級腕時計だ。それで本物かと聞いたら、「レプリカ(復刻版)」だという。
ショーケースに並んでいるのが「Aクラス」呼ばれ、500~1000ペソ(1000~2000円)程度だ。最近はロレックスやカルティエなどのブランドものよりも、流行の大型時計のほうが値段が高いようだ。
こちらが本気と見て取ると、店主は店の中からケースを持ち出してくる。これが「AAA(トリプルA)」と呼ばれるパチものの高級品で、2000~3000ペソ(4000~6000円)くらいで本物と見分けがつかない。だから「レプリカ」と呼ばれる2万ペソの時計がいかに破格かわかる。

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