長年、ガラパゴスと揶揄されてきた日本の携帯電話市場の特殊性や、携帯電話メーカーの「内弁慶」体質が変わるきっかけになるだろうか。

 NTTドコモは19日、注目のスマートフォン2機種の今夏投入を発表した。グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した台湾メーカーHTC社製の「HT-03A」と、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ・モバイル6.1」を搭載した東芝製「T-01A」の2機種が、それである。

 この2機種の可能性は計り知れない。まず、あのiモードの誕生以来、10年間、一貫してクローズドの垂直統合型ビジネスモデルを追求してきた、ドコモなど国内の携帯電話会社が戦略を大きく転換するきっかけになる可能性がある。

 加えて、鎖国状態の国内携帯市場の扉を開き、内外のメーカーが国境を超えて相互参入する余地を生む。そして、かつてパソコンでマイクロソフトとアップルが繰り広げたように、米OS大手3社の覇権争いが激化するのも確実と言える。

 どれも、消費者にとっては、歓迎すべきである。端末とアプリケーションの多様化や低廉化といった恩恵を享受することも期待できそうなのだ。

オープンOSでユーザーは
自由にアプリをインストール可能

 「HT-03A」と「T-01A」の投入発表は、19日のドコモの2009夏モデルの発表の一環として行われた。

 一見すると、流行りのタッチパネルを採用し、キーボードを持っていないことが目立つぐらい。外見はこれまでのスマートフォンと大差ない。しかし、この2機種は、オープンOSという画期的な特色を持っている。

 このおかげでユーザーは自由に、自分の好きなアプリケーションをインストールしたり、不要になったアプリケーションを消去することができるようになるからである。

 今年、誕生から10年を迎えたNTTドコモのiモードにせよ、前身の会社が追随して開始したauのez-webなどにしろ、それらのデータ通信サービスの特色は、クローズドの垂直統合モデルだったこと。つまり、認証・課金から始まり、着メロ・着うたやゲームといったアプリケーションなどがすべてiモード専用、ez-web専用といった具合に、それぞれ専用の仕様に分かれていた。

 ところが、今回の2機種が搭載したオープンOSの場合、日本語か英語かといった言語の問題を除けば、一度開発したアプリケーションは、同じオープンOSを採用している世界中の携帯電話会社の端末で利用できるようになる。アプリケーションを提供している企業にとって、低コスト化と市場規模拡大というメリットの大きさは計り知れない。