橘玲の日々刻々 2014年2月17日

売名でデタラメばかりと言えない、都知事選”泡沫候補”の主張とは?
[橘玲の日々刻々]

 それ以外にも、「原発をいますぐ廃止して、LNGを燃料とするガスコンバイントサイクル発電所を増設せよ」とか、「日本とマレーシアの虹の架け橋になる」という公約を掲げて立候補したひとがいました。いずれも立派な主張ですが、都政とどうかかわるかが見えないと得票にはつながらないでしょう。

 「直参旗本の家系で東京四百年在住」という発明家(この方は有名です)の「科学で渋滞を解消する」という提言や、「東京を『天国の首都』に」「トップガン政治」などのキャッチフレーズも気になりますが、今回いちばん目を引いたのは「新憲法で未来へのチャレンジ」という立候補の趣旨でした。

 この候補者は現憲法を、敗戦という極限状況のなかで日本がGHQを通して連合国世界に最大限の譲歩をさせた「奇跡的な憲法」と高く評価し、「押しつけ」との批判を一蹴します。そのうえで、自衛隊の位置づけが曖昧なままでは米軍に依存せざるを得ないことと、政教分離の規定がある以上靖国問題が解決できないことを理由に、憲法の建設的な改正を説くのです。同じく「憲法改正」掲げる“泡沫”でない候補者より、こちらの方がずっと説得力があるような気がします。あっ、このような比較をするのは〝泡沫〟に失礼かもしれませんが。

 

『週刊プレイボーイ』2014年2月10日発売号に掲載

 

 <執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

 
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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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