オバマ陣営の「副大統領候補」選定作業が大詰めを迎えている。4半世紀に及ぶ選挙分析で知られるラトガーズ大学のポンパー名誉教授は、オバマの弱点を補うのは、バージニア州選出のウェブ上院議員をおいて他にはないと提言する。(聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子)

 Pomper教授
ジェラルド・ポンパー ラトガーズ大学政治学部名誉教授

   バラク・オバマ上院議員が民主党の大統領予備選指名で勝利を獲得したのは、同党の支持者層に近年起こっている変化を確実に捉えたからに他ならない。だが、大統領選で勝利を収めるには、民主党が失ってきた支持基盤を取り戻す必要がある。

 私は過去25年にわたって大統領選を分析してきたが、民主党支持者はかつての工場で働くブルーカラー労働者層から、知識労働者やミドルクラスの米国人へと大きく移行した。

 オバマ氏は、「変化」や「新しい方向性」を訴えて、現在国民が求めている気分を巧みにすくいあげただけでなく、同時にうまく組織化された選挙運動を行って彼らへのアピールに成功したのだ。

 だが、共和党候補のジョン・マケイン上院議員との大統領選本選(11月)では、その戦略だけでは不十分だ。民主党を離れたブルーカラー労働者層を中心とする白人男性は、そのほとんどが共和党へ流れている。

 民主党はこの4半世紀で女性層の支持者を増やしてきたが、それ以上に、白人男性層の支持者を失っている。その意味でのジェンダー・ギャップを抱えているのだ。過去2回の大統領選に負けたのもそのせいだ。その基盤を確実に取り戻さなければならなければ勝利はない。さらに、ヒスパニック系住民の多い西部州や南部州が激戦区になると予想されるのも、これまでの選挙に見られなかったパターンである。

レーガン時代の海軍長官で労働者層出身
ウェブ氏ならば共和党の攻撃を回避し易い

 そこで、オバマ氏が大統領選を有利に運ぶには、副大統領候補としてバージニア州選出のジム・ウェブ上院議員を選ぶ以外にないと、私は見ている。2000年の大統領選で、経験不足と危ぶまれたジョージ・ブッシュ現大統領がワシントンのインサイダーであるディック・チェイニー氏を副大統領候補に選んだのは、政治的に聡明な判断だった。もちろん、実際の政権でそのコンビがうまく機能したかどうかは別問題としても、副大統領には、大統領候補の弱みをカバーする候補が必要なのだ。