フェイスブックによるワッツアップ(WhatsApp)の190億ドルという買収額が、いったい高すぎる買物なのかどうか、もはやはっきりとした論理を立てて説明できる人はいない。

 ワッツアップの設立はたったの5年前、社員が50数人しかいないスタートアップで、しかも広告収入もない。テキスト・メッセージングというシンプルなサービスだけで、どれだけ収益が拡大するのか。

 だが、その広告も入らないシンプルなアプローチこそが、ワッツアップのユーザーを毎月4億5000万人にまで膨らませた。

 共同創設者のジャン・コームは、もともとヤフー出身。ヤフーが、ユーザー情報をチビチビと集めて広告主へアピールするために、あれこれの複雑なサービスや製品を開発していたことと、まったく逆のことをやろうとしたのが、ワッツアップの核となっている。

共同創立者は
ウクライナ出身

 そもそも、ウァッツアップを利用するには、名前や年齢の情報を提供する必要もないのだが、それはコームがもともとウクライナの出身で、秘密警察が電話など国民のコミュニケーションを嗅ぎ回っていたことへの警戒から生まれているのだと、関係者は語っている。そう言われてみると、ユーザー情報を収集する最近のインターネット・サービスは、秘密警察並みのプライバシー侵害を行っているのかもしれない。