自社の権利と利益を守るために
商談の議事録や書面のやりとりを

 もし取引先から不正な行為を受けて被害にあったらどうするか。納入業者は消費税価格転嫁等総合相談センターに相談するのが、まず取るべき行動だ。

 しかし、納入業者という商取引上、弱い立場にあるにも関わらず、買い手側を告発するようなことは難しいだろう。もしそのことが業界内で知られれば、あっという間に干されてしまうだろうし、取引関係が壊れるのは間違いなく、その分の自社の売り上げが落ちる事は目に見えている。取引を今後も継続してビジネスを続けていきたいと思うのなら、なおさらだ。

 それに、日常の納入や仕入れの商談は電話や面談の場で、口頭で交わされることがほとんだだろう。したがって、ビジネス上の関係が壊れてしまうことを覚悟で告発しても、証拠がなければ行政側もどうしようもない。

「とは言っても、買い手側の不正を飲まざるを得ないのなら、中小の納入業者は守られません。自社の利益を守るためには、きちんと商談の議事録を取ったり、納入価格等は口頭ではなく、なるべく書面でやりとりするのが望ましいです。電話で商談をした後、ファックスで確認のためにやり取りする等、工夫のしようはあります」と元榮弁護士はアドバイスする。

 増税で、節約のために消費者は強(したた)かに買い物をするようになるのと同様に、納入業者も自社の権利と利益を守るために、強かな工夫が求められそうだ。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)