2014年3月期に1100億円の赤字予想
止血策に加え稼げる分野を確立せよ

 しかしそれだけでは、ソニー全体の収益を黒字にすることはできない。もう1つ必要なことは、早期に「稼げる分野」を確立することだ。

 同社は、今後のエレクトロニクス事業の柱として、(1)ゲーム、(2)スマホなどのモバイル、(3)映像技術などのデジタルイメージングの3つを挙げている。その3つの柱によって、伝統的に強いエレクトロニクス部門で収益を上げられる体制づくりを目指す。

 今回のPS4の販売好調は、ソニーにとって明るい材料であることは間違いない。しかし、それはエレクトロニクス事業の3本柱の1つに過ぎない。他の柱でも稼げるようになることが必要だ。その絵がなかなか描ききれないのが、ソニーの現状だろう。

 特に、同社が力を入れるというスマホは、今後一段と競争が激化する分野であり、世界でのシェアが上位5社にも入っていないソニーがこれから巻き返すのは、口で言うほど容易なことではない。

 また、平井社長が発表したリストラ策にも冷ややかな見方が多い。テレビ事業を分社化すると、経営資源が一段と限られた環境下で生き残りをかけることになる。それは困難で、最終的には売却に追い込まれる可能性が高いとの見方もある。

 市場関係者の間では、「テレビ事業などはもっと早い段階で思い切った対応策が必要で、今回の措置は手遅れ」との指摘もある。そうした見方を反映して、今のところ、リストラ策やPS4の売れ行きにも同社の株価はそれほど大きな反応を見せていない。

 ソニーが辿ってきた道は、欧米のビジネススクールのケーススタディになるようなプロセスだろう。戦後の焼け野原から立ち上がった小規模なベンチャービジネスが、わずか40年あまりの間に世界に冠たるビッグビジネスにのし上がった。