ノバルティスホールディングジャパン社長 三谷宏幸

──今年に入って、新薬の承認・発売が相次いでいる。

 今年3月、「コディオ」(高血圧症治療薬)、「ゾレア」(気管支喘息治療薬)、「タシグナ」(抗悪性腫瘍薬)、「ルセンティス」(加齢黄斑変性症治療薬)を同時に発売した。おそらく4製品を同時に発売するのは、業界初の快挙だろう。七月には「クロザリル」(治療抵抗性統合失調症治療薬)を発売、「ラジレス」(高血圧症治療薬)も承認された。来年も3製品の発売を予定している。その点では順調だ。

──新薬効果はどこまで続くか。

 新薬を発売して終わり、ではない。発売直後は副作用情報を収集して安全管理をするなど、付随作業が増える。そのため純粋な営業にかけられる時間は少なくなる。既存品との食い合いもある。上半期(1~6月)の売上高は狙いどおりだったが、7月から少しスローダウンした。次の製品の発売準備もあり、今は「生みの苦しみ」の状況だ。

 われわれは5年後に、現在国内6位の医療用医薬品売上高を3位に引き上げることを目指している。主力製品の特許切れの問題もあり、右肩上がりの成長を続けるのは難しい。だが、“瞬間風速”でも、現在(2008年全社売上高は2751億円)の50%増を狙う。