円安デメリットを感じている国民
食料支出増加の理由は「駆け込み」ではない

 前回の「円安デメリットを助長する消費税増税は誰のため? 家計を直撃する“ダブルパンチ”の知られざる正体(家計編第6回)」末尾にある世論調査の投票結果は、筆者にとっても少し驚きの結果だった。なんと、投票者の8割以上が「円安の悪影響を肌で感じたことがある(感じている)」というのだ。

 これは、ベースアップや株高などによる景況感の改善よりも、円安による電気代その他に係る日頃の支出増のほうがインパクトが大きく、生活レベルの向上はまだまだ期待できそうにない、と国民の多くが感じ取っているからこその数字だろう。

 そして、いよいよ来る4月1日、消費税率が5%から8%に上がる。巷では、住宅や自動車、白物家電などに代表される高額商品の駆け込み需要が、想定を超えているとの声が聞かれる。同時に、その反動減を警戒する声も聞かれるが、ならして考えれば、これらの消費財を生産・販売する企業にとってはトータルではプラスなはずだ。

 円安も消費税率アップも、自動車・電機メーカー、家電量販店といった特定の業界(企業)にはプラスに働いているが、その他の多くの業界(企業)と家計にとってはそうではない。

 たとえば、「消費支出とその内訳(2014年1月、2人以上の世帯」(『週刊ダイヤモンド』3月22日号特集「消費税増税狂騒曲」P123を参照)には、消費支出増加への寄与度の大きい順に「被服及び着物」「住居(リフォーム含む)」「教養娯楽(旅行など)」「食料」「交通・通信(自動車など)」「家具・家事用品(家電製品など)」「保健医療」の7項目が挙がっており、「食料」を除く6項目は2~5ヵ月連続の実質増加となっている。