ソーシャルメディアが普及し、久しくなりました。そのなかでもツイッターの月間アクティブユーザー数は2億4100万人(2013年12月31日時点)に上り、日本のツイッター人口はアメリカに次いで2位と高い普及率であると言われています。

 ユーザーがこれだけ積極的にソーシャルメディアを利用していることを受け、多くの企業が「(ソーシャルメディアを通じて)ユーザーの声を集めたい」と考えることは当然です。しかし、これらの企業のソーシャルメディアのマーケティングへの活用はあまり進んでいないのが実態です。それは一体、なぜでしょうか。

分析ツールは“見える化”するだけ
意志決定は人の役割

 その理由を考える前に、ソーシャルメディアからユーザーの声を集めるためには「ソーシャルリスニングツール」を使う必要があり、それらツールで何ができるのかをまず見ていきましょう。

「ソーシャルリスニングツール」と呼ばれるデータ分析ツールやアプリケーションは、2000年頃から開発され、技術的にも進歩を重ねています。これらのツールは、ソーシャルメディアから得られる生活者の興味や関心事を、グラフなどを使い“見える化”してくれます。

 ツールの利用目的は、CRM(Customer Relationship Management、顧客管理)のように1人ひとりのユーザーを深堀りして理解するものではなく、全体の傾向分析です。例えば、企業名、商品名などの「検索ワード」がどれくらいつぶやかれているか、いい評判、悪い評判にはどんなものがあり、男女比はどれくらいかなどを知ることができます。検索ワードに関連するワードを抽出することもできるので、ワードとワードの関連性を推測することで、マーケティング活動に役立てることができます。また、ソーシャルメディアの特性として、自社のユーザーのみならず、ライバル社の商品なども検索でき、これによって様々な傾向が掴めるのがメリットでもあります。

 とはいえ、これらのツールが企業活動におけるすべての意思決定をしてくれるわけではありません。ツール化されているのは、データ処理と分析エンジンの部分だけ。重要な意思決定は、相変わらず人が行わなければなりません。ソーシャルメディアが普及し、ソーシャルリスニングツールが出てきたからといってツールがマーケティング活動の全部を行ってくれるはずはありません。私たちにとってデータ分析結果の“見える化”は、人がPDCAを回したり、意思決定を行うための材料なのです。