「終活」は2009年ごろまず「週刊朝日」誌が提唱したといわれ、2012年の新語・流行語大賞でトップテンに選出され現在に至る、息の長い言葉だ。

 団塊の世代のほとんどが第一線から退き、余裕のあるうちに「最期」を考えてみようという時期とも重なり、マーケティング的にも上手いネーミングといえる。「死への準備」が「シューカツ」と軽く一括りにされることで、口にしやすく、宣伝もしやすいものとなった。

 メインはやはり財産や墓がらみのものになるが、自分史や家族・友人へのメッセージ作成の比重も大きい。財産分与に関しては遺言で、葬儀や供養の方法、メッセージ類は法的効力はないが敷居が低く自由度の高いエンディングノートで、という棲み分けもできている。

ラストメッセージの解説動画(2:43)

遺したくないものを
どうするか?

 何を遺すかではなく、何を遺さないかが問題となるケースもある。決していかがわしいものではないが、自分以外の人間の目に触れてほしくない何かに思い当たる人も多いはず。

 例えば50年前なら、段ボール箱にまとめておいたそれを、業者や信頼できる友人に処分してもらうという方法があった。その現代版・デジタル版のひとつがkitamuraという会社のWebサービス「ラストメッセージ」だ。

 今年3月からスタートした本サービスは、エンディングノート(家族へのラストメッセージ)作成までを含めた包括的なものだが、前面に打ち出しているのは「万が一の際のプライバシーを削除する仕組み」だ。