4月1日から、とうとう消費税増税が始まった。これまでの経済運営は増税なしの金融緩和だったので、合格点である。しかし、金融緩和の足を引っ張る消費税増税は「景気が本格的に良くなる前」なので失敗になるだろう。

 ちなみに、2月鉱工業生産指数、前月比2.3%低下。3、4月も冴えない見通しであり、消費税の駆け込み需要に対する反動減はすでに出始めている。消費税増税は、反動減だけでなく、可処分所得を奪い、消費の実質減ももたらすので、4月以降はダブルパンチになる。

 これまでの増税なしの金融緩和と、増税して猛烈なマイナス効果の中での金融緩和は明確に区別しなければいけない。そこで、これまでの経済効果、とりわけ雇用の改善を振り返っておこう。

失業率の改善は加速していた

 2月の完全失業率や求人倍率が改善している。完全失業率は3.6%、有効求人倍率は1.05倍。ともに、2007年7月、8月以来のいい数字だ。完全失業率については、2007年7月の前になると1998年2月にまで遡るから、ここ16年間で一番いい数字である。筆者は、ここくらいまで下がると予測したが、意外に早く達成した。これだけでも、これまでの経済政策がうまくいっていることを示すには十分である。

 アベノミクスの金融緩和によって、失業率の改善スピードが増している。就業者数でみれば、失業率の改善はよりはっきりわかる。民主党政権時代には、就業者数は6300万人から徐々に下がって、6260万人程度になったが、自公政権になってからこの動きが反転し、6330万人程度へと上昇傾向になっている。

 失業率が下がれば、自殺率や犯罪率が低下することが知られている。さらに、生活保護率も下がる。今話題のブラック企業も求人が大変になって、自ずと淘汰されるだろう。いずれにしても、失業率は最も重要な経済指標の一つだ。