景気が回復すれば、多くの会社で仕事は増えます。ところが、社内の人員が増えるのはかなり時間が経ってからになりがち。そうなれば、1人1人の業務量が増えるだけで、勤務時間内を越えて仕事をしなければならない状態になります。

 ところが近年、多くの会社で「残業をさせない」マネジメントが奨励されるようになりました。それでも、仕事をしっかりこなそうとすれば、どうなるのか?「自宅に仕事を持ち帰ろう」と考えてしまう社員が増えることになるでしょう。果たして、それでいいのでしょうか?

 そこで今回は、残業しなければ仕事は終わらない、だけど残業できない…悩めるある社員を中心にした物語を紹介します。みなさんもぜひ一緒に、この問題にどう取り組めばいいのか考えてみてください。

入社5年でこれまで残業ゼロ
華麗な仕事ぶりも“新たな業務”で崩壊!?

「どうしよう、仕事が終わらない」

 残業したくてもできない職場で働きながら、それでも明日の朝までにやらないといけない仕事がある――。そんななか、どうしたらいいか悩んだ末に、自宅で仕事をすると決めたのは、システム会社の総務部に勤務しているFさん(27歳)。Fさんは、もともと仕事とプライベートは切り分けて、華麗に仕事をしたいと考える性分。そこで、周囲の上司や同僚に対して、

「残業はしない、休日出勤もしない」

 と宣言して、これまで残業をしたことは全くありません。ときに、上司から「明日までに何とかやってほしい」と頼まれても、断る始末です。このスタンスは10年前なら許されなかったかもしれません、しかし、会社も残業することをよしとしない風土になりつつあるため、今やFさんの行動を批判する人はゼロ。むしろ従業員としてあるべき姿を示しているとして、称えられることさえありました。

 先日も自社の採用ページの中で、

<残業はゼロ。毎日18時には趣味のランニングウェアに着替えて公園を走っています>

 と、勤務時間内ですべての仕事をこなしている姿を紹介されたほどです。

 ただ、社歴を重ねるにつれて仕事の難度も上がり、華麗な姿のまま仕事を続けるのが難しくなってきました。ついに、残業をせざるを得ない状況になってきたのです。