三谷隆博GPIF理事長
vs.伊藤隆敏東大教授

今週号の『週刊ダイヤモンド』(4月12日号)は、「暴走! 日本株 ボロ儲けしたのは誰だ」と題する日本株特集だ。ちなみに、ライバル誌『週刊東洋経済』(4月12日号)も日本株特集を組んだ(「いま買える株、買えない株」)。

 二大経済誌が同時に株特集を組むとは、「せっかく1万5000円を回復したところで、株価の天井になってしまうのではないか」などと妙な心配が湧いてくるが、もちろん、この心配に根拠はない。

 今回は、国民が真剣に考えるべき別の心配事を取り上げる。テーマは、公的年金の運用、特にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する現在120兆円を超える厚生年金、国民年金の資金運用だ。

 この資金の運用方針に関連して、伊藤隆敏東大教授を座長とする「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」の見解と、三谷隆博GPIF理事長の見解が、複数の点にわたって鋭く対立している。

今週号の『週刊ダイヤモンド』は、46ページに両者の対立点をわかりやすくまとめている(記事タイトルは「外国人が狙うGPIF改革は尻すぼみで失望売りの公算」)。「対立」あるいは「対決」という形で対比されることは、お2人にとって迷惑なのかもしれないが、この「三谷vs.伊藤対決」の整理方法は大変わかりやすくてインパクトがあるので、以下のこの記事に従って、どちらの意見が正しいのかを判定してみたい。

 なお筆者は、有識者会議報告書が取り上げた対象でもある国家公務員共済組合連合会(KKR)の運用委員会の委員を務めているが、以下の論評は全て筆者個人の意見であって、KKRの意見ではないことをお断りしておく。

三谷氏と伊藤氏の
相容れない「6つの対立点」

 記事において、「相容れない」として整理されている対立点は6個ある。①「日本株の買い増し」、②「インフレ目標」、③「金利」、④「国債保有の割合」、⑤「JPX日経400の採用」、⑥「(GPIFの)組織のあり方」、の6点だ。順番に見て行こう。