グローバル化する日本企業、
ダイバーシティ化する人材

社内での「価値観の異なる人材の増加」を<br />どう弱点から武器に変えていくか<br />――これからのインターナルブランディング

 2000年代に入ってから、日本企業のグローバリゼーションは急速に進展しつつある。経済産業省のレポートによると、海外に進出している日本企業は2万3351社に達し、海外での売上高は199兆円を超えている(2012年時点)。国際協力銀行の調査によれば、日本企業での海外売上比率は2013年度に既に37%に達している。

 グローバリゼーションを加速させている主役のひとつがM&Aだ。2011年の武田薬品工業によるメイコナッド社買収(約1兆1000億円)、今年のサントリーによるビーム社買収(約1兆6500億円)は、もはや例外的な事例ではない。日本企業の売上高の半分が海外になるのもそう遠くない将来の話かもしれない。

社内での「価値観の異なる人材の増加」を<br />どう弱点から武器に変えていくか<br />――これからのインターナルブランディング

 そんな時代の中で、日本企業における人材のダイバーシティ化も、加速度的に進んでいる。今回は、グローバリゼーションに伴い人材のダーバーシティ化が進む日本企業で、異文化コミュニケーションをマネージしていくための有効な手法として、「インターナルブランディング」の活用とその要諦について紹介する。

人材のダイバーシティ化によって陥りやすい罠

 以下のような話を聞いたり、経験したことはないだろうか。

●日本国内で時間やコストをかけてつくりあげた経営ビジョンを、海外の外国人社員に披露したところ、理解や共感どころか、猛反発を生んでしまった。

●日本本社が大切にしてきた経営理念や行動規範を外国人社員に伝えるために、翻訳したものをブックやムービーなどで配ったが、全く伝わらなかった。

●経営理念やビジョン、行動規範を伝えた後は、各国の事情も考慮し、良かれと思って現地の自主性に任せていた結果、期待していたような具体的な活動とならずに盛り上がらなかった。

●海外拠点の有望な外国人社員が順調に成長してきて、そろそろその国のリーダーになってもらえると期待していた矢先に、退職されてしまった。