採否を決めるのは人
だから「絶対」はない

 4月に入り、企業は早くも内定(正しくは内々定)を出し始めました。

 正確には、1月や2月から内々定を出す企業は少なからずあるのですが、ここでは一応、多くの企業が守るルールに則って「4月に入って、企業は早くも内定を出し始めた」と書いておきましょう。

 自由な競争社会であるとはいえ、私は一定の秩序があった方がいいとは思いますが、「自分さえよければいい」とマイルールを貫く組織や個人が少なくないことも、世の中の現実です。そういう世の中で、みなさんはこれから生きていくわけです。

 すでに意中の企業から内々定をもらった方もいるでしょうし、なかなかいい結果が得られずに焦りを感じている方もいるでしょう。

 今回は後者、なかなかいい結果が得られない方に向けて書こうと思います。

 私が言いたいことは、ひとつだけです。

 今回のタイトル、『結果がダメでも「自分には能力がない」と思ってはいけない』というのが、私からのメッセージです。

 採用は、人が人を評価する営為です。しかも、それには「定員」がある。同じように能力があり、同じように人柄が良くても、Aさんは採用され、Bさんは採用されない、ということは当たり前にあります。

 採否を決めるのが人であって神様ではない以上、必ずしも最良解だけを選択できるわけではなく、時には間違いだってある(内々定をもらったみなさんが選ばれたのが間違いだ、と言っているわけではありません)。「絶対」ということはないのです。

 もちろん、不採用の知らせを受け取ったら、しかも、それが心から行きたい会社であったとしたら、がっくりすることはわかります。

 私もおよそ30年前、30社近くの出版社から不採用の通知をもらい、30回近く落ち込んだものです。

 小学館、集英社、講談社、新潮社…。私を落とした会社の名前は、挙げようと思えばすべて挙げることができます。

 もちろん、意味がないので、すべて思い返したりはしないのですが。