日本発、台湾経由の中国ビジネス
日本から台湾経由で中国展開をしていく場合に、「日本のモノ」ではなく、中国人の好みをよく知っている台湾の人たちと一緒にカスタマイズしてから「中国人好みのモノ(日本から)」として展開していくことが必要です。
もちろん肝心なのは商品ですが、「日本のモノ」ではなく「(日本から)」というニュアンスがポイントではないかと思います。台湾では絶対に「日本のモノ」と謳ったほうがよいのですが、今の中国ではあからさまに「日本製」を謳うより、台湾で少しアレンジして「台湾の!(日本から)」というほうがいいでは、と考えるようになりました。
日本のモノを台湾フィルターに通してから中国に入れることによって、中国の人たちにより受け入れられるモノとなり、さらに台湾から始めることによって中国でのオペレーションもやりやすくなります。今後、対中国ビジネスにおいて、台湾は日本と中国を結ぶ架け橋的な役割がさらに強くなるのではないでしょうか。
中国の人たちが、今後さらによいモノを求めるようになることは間違いありません。そして日本が、彼らの求めるよいモノを次々と作り出していることも間違いありません。今後はそれらをどのように売っていくか、これまでとは違うかたちを考えなくてはなりません。
邱永漢先生は「台湾人は日本人に対して非常に好意的なのに、その割に日本人は台湾人のことをあまり大事にしていない」とおっしゃっていました。日中関係が悪いからということではなく、日本はもっと近くにいる友人を大切にしなければならないのではないでしょうか。
これからは、“台湾発”の中国ビジネスについて書いていければと思います。

(文・写真/上田尾一憲)
1976年、広島県出身。湖南省の中南大学大学院在籍中に邱永漢氏と出会い、卒業を待たず、2005年から氏が亡くなる2012年5月16日まで秘書とし て中国ビジネスと中国株を直接学ぶ。今年6月まで安徽省合肥市の不動産デベロッパー国耀集団にて投資発展副総監と同集団安徽坤地農業科技有限公司総経理を 兼務。 現在は深センにて新しいビジネスを開拓中。著書に『こんなに楽しい中国の「農民画」』(魁星出版)。
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