多くの企業が人手不足で採用を増加
チャンス到来、就活生よ大志を抱け

 つい最近まで、ハローワークに職を求めに行く人の数が、求人数よりも多いという状況だった。つまり有効求人倍率が1.0倍よりも低かったのだが、2012年11月以降の緩やかな景気回復によって、労働市場での求職と求人の比率が好転している。

 2月の労働市場の統計を見ると、すでに求人数が求職者数を上回っており、失業率も3.6%まで下落している。それに伴い、大学新卒者の採用人数も拡大しており、一部のアンケート調査では、来年の新卒採用人数は前年対比で16%程度増える見込みだという。

 すでに流通や建設などの分野では深刻な人手不足になっており、新卒者にとって“売り手市場”になりつつある。数年前までの就職氷河期は、徐々にではあるが氷解しつつある。苦しい思いをしてきた新卒者諸君は、このチャンスを大いに活かすべきだ。「新卒者よ、大志を抱け!」とエールを送りたい。

 少し長い目で見ても、わが国の少子高齢化を考えると、今後必要な労働力を確保することが次第に難しくなるはずだ。すでに建設や流通、サービスなどの分野では、労働力が隘路(ボトルネック)になり始めている。当該分野では、アルバイトの時給などを含めて給与水準が上がり始めている。

 就活を行う新卒者には、「自分を安売りする必要はない。じっくり腰を落ち着けて仕事を選べばよい」とアドバイスしたい。間違っても、焦ってブラック企業に飛びつくべきではない。これからは、時間をかけて企業をよく調べ、自分に合った企業の門を叩けばよい。そのくらいの気持ちを持って、就活に臨むべきだ。

 最近、企業の採用担当者にヒアリングしてみると、多くの企業が深刻な人手不足に直面しつつあることがわかる。昨年まではその不足人員を、労働市場でだぶつき気味だった人員を中途採用することで埋め合わせる傾向が見られた。