高城 たしかに、95~97年頃の厳しい時期にスタートして生き残ったベンチャーは、今でも強いですね。ビジネスモデルもさることながら、なにより経営陣の心が強い。ただ一方で、今はうつむいている人が多い気もします。日本再生に向けて、何かメッセージを。

松田 景気が悪いのは、世界中どこへ行っても同じです。しかし、シンガポールをはじめとして、私がアジア諸国で出会う人は皆一様に楽観的です。今は一時的な現象で、かならず上向くと信じている。そのときに備えてチャンスを虎視眈々と狙っている感じです。

 しかし日本に戻ってくると、なんだか元気がない。たしかに足元のファンダメンタルズの数字はよくないので、日本経済や企業はなかなかすぐには復活基調には乗れないと思います。いまの日本を、人間の年齢で例えれば、60~65歳といったところかもしれません。でもだからこそ、守りだけに徹さず、やるべきことがたくさんあるはずです。新興ベンチャーがどんどん出てきて、ガタが来ている経済の新陳代謝を高めていく必要がありますね。そうすればみるみる若返っていくはずです。日本はまだ、老け込むには早すぎると思うのです。

【松田さんのインタビューを終えて】
 タリーズコーヒーを日本でゼロからスタートし、そして再び、シンガポールで新たなビジネスをゼロからスタートさせている松田さん。インタビューを通じて強く感じたことは、松田さんには、ゼロから始めることを恐れない「強さ」があることです。【前編】で紹介したように、会社の看板に頼らず自分の力だけでモノを売ることに挑戦したというエピソードをはじめ、タリーズの社長を辞め、現在シンガポールで新ビジネスに挑戦しているということもすべて、ゼロになることを恐れない「強さ」の表れといえるでしょう。

 「自分は弱い人間ですから」と笑って話す松田さんですが、本当に弱い人間は自分を崖っぷちに追い込むようなことはできません。むしろ、松田さんはその過酷な状況を楽しんでいるようにさえ見えます。「ピンチはチャンス」と捉えるポジティブな強さこそ、いまの日本に本当に必要なことかもしれません。

(写真撮影:亀井一郎)


【編集部よりお知らせ】
 今回をもって、当連載『高城幸司が聞く「社長直伝 仕事の極意」』は終了となります。1年弱にわたり、ご愛読いただきありがとうございました。

 7月上旬より、高城氏の新連載『イマドキ職場のギャップ攻略法(仮)』が始まります。あなたは、若手社員や異性の社員、日本人以外との仕事のやり取りでギャップを感じることがありませんか?そんなギャップを攻略し、彼らと仕事を上手く進める方法を毎回紹介していきます。お楽しみに!