海運業特有のボラティリティ(価格変動性)と決別したい日本郵船。今後は安定収益が見込めるLNG船に集中投資する。一方で、航空貨物という課題は解決していない。

 海運業界は大きな転換点に来ている。「海運市場の波は30年周期。2000年代は、鉄鉱石などを運ぶドライバルク船でバブルが起こるなど、山あり谷ありだったが、安定的な時代に入った」と、ある海運関係者は話す。

 海運会社は、中国の旺盛な鉄鉱石需要に押されて2000年代前半から08年まで未曽有のバブルを経験した。その間、巨額の利益をたたき出したが、リーマンショック以降、バブルの後遺症に苦しんだ。海運大手の雄、日本郵船も例外ではない。

 過去10年間、日本郵船の営業損益は、ドライバルク船の運賃指数であるバルチック海運指数(BDI)と見事に連動してきた。08年、BDIが7758のときには営業利益は2021億円を挙げたが、12年にBDIが1420に落ちると、241億円の赤字に転落した(図(1))。

 日本郵船は、この海運業特有のボラティリティ(価格変動性)からの脱却を経営テーマとして掲げてきた。