フィリピン 2014年5月13日

フィリピンで特別居住退職者ビザを取得するとき、
預託金はどの銀行に預ければいいのか

預託金の預け入れを政府系銀行に一般化する動き

 この背景には、2011年より、ビザ発行の条件である預託金の預入れ銀行を政府系のDBP(Development of Bank of the Philippines)に一本化しようというPRAの意向がある。ちなみに2011年5月以降、BOCなどDBP以外の認定銀行に預け入れた定期預金を使ってビザ申請をする場合、申請者にはPRAがDBPに預金を移動することに同意する文書の提出が義務付けられている。

 IDカードを更新する際も、3年有効IDを発行してもらうためには銀行移動(Bank Transfer)の用紙に署名して提出する必要がある。移動先は退職者の選択によるが、下記の理由により、DBPを移動先として選択するのが賢明だ。ちなみにDBPの場合は、退職者本人の口座ではなくPRAの口座に預け入れることになる。

①現在、新たな申請のほとんどはDBPのPRA口座に振り込まれている(他の認定銀行を使った場合、将来DBPに預金を移動することに同意する旨の念書の提出を求められる)

②政府系であり倒産の恐れがない(フィリピンのペイオフは50万ペソ=約115万円にすぎない)

③他の認定銀行については、近い将来認定から外れる可能性もあり、再度銀行移動の手間がかかる恐れがある

④他の認定銀行に移動する場合、事前に、移動先の銀行に口座を開いておく必要がある

 DBPに預金を移動する場合の手順については現在、PRAとBOCが話し合っているところだが、現状では下記の手順となる。

①PRAに預金の銀行移動を申請する

②PRAから預金の銀行移動許可証を受け取る

③移動許可証をBOCに持参して、定期預金の解約とDBPへの送金手続きをする

④PRAから預金証明書を受け取る

 上記は退職者本人が手続きする必要があるが、委任状にもとづいて代行することも可能で、必ずしもフィリピンに来る必要はない。

Bank of Commerceのこの支店は、目抜き通りのマカティアベニューとブエンディア通りの角にあるペトロンのガス・ステーションの敷地内にある【撮影/志賀和民】

 BOCは認定銀行から外れたものの、現在まで約2000人の退職者の預託金を預かっていただけに、退職者へのサービスについては積極的に進める意向を持っている。日本からの送金をBOC宛てに行ない、そこからDBPのPRA口座に移動する方法があって、一見、面倒に見えるが下記のメリットがある。

①DBPに直接送金した場合、現時点では入金を確認するまで2週間かかっているが、BOCなら3日程度で入金が確認できる(そこからDBPに移動した場合さらに1~2週間かかるが、国内送金なので心配ない)

②送金用にBOCに開設した口座は、ビザ取得後、そのままドル口座として機能する

③フィリピンでの生活費として余分に送金することも可能で、所定の預託金(2万ドル=約200万円など)をDBPに移動し、残りは退職者が自由に使える

 BOCを送金口座として利用する場合の手順は下記となる。

①BOCに口座を開設する(日本から郵送で口座開設することも可能)

②BOCの自分の口座宛に送金する

③あらかじめ署名した送金依頼書をもとに所定の預託金(2万ドル=約200万円など)をDBPに振り込む

④DBPからの預金証明書の発行をPRAに確認する

 昨今、退職ビザの取得後においても銀行口座の開設がきわめて難しい状況になっている。BOCは退職者の口座開設を積極的に行なっているので、この面でも利用価値は大きい。ただし、新規の口座開設には退職ビザなどの長期ビザを持っていることが条件となる。

預託金の移動先となるDBPの本店は、ペトロン・ガスステーションの向かい側という至近距離にある【撮影/志賀和民】

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<日本人退職者のトラブル事例>

(文・撮影/志賀和民)

著者紹介:志賀和民(しが・かずたみ)
東京出身。東北大学大学院修了後、日揮(株)入社。シンガポールにをかわきりに海外勤務を歴任。1989年日揮関連会社社長に就任しフィリピンに移住。2007年4月PASCO(サロン・デ・パスコ)取締役。

 


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