ここで1つ注意したいのは、選ぶ、ということは言い換えれば、何かを捨てる、多くの場合は今までのものを捨てることを意味しているということだ。自己変革の準備中は二股かけても三股かけても構わない。しかし、どこかの段階で、捨てる勇気を持たなくてはならないのだ。もしかすると、努力して準備してきた新しいことの方を捨てることになるかもしれない。それでも構わないが、選ぶ陰にある捨てる行為を忘れないでほしい。

 それぞれ覚悟を決めて、委ねてきた。そうしないと、今度は委ねられる側が、こちらがエンパワーされていないと思ってしまう。浮気されていると感じて、それで信頼を失うかもしれない。岸から離れようとする小舟がある。いつまでも両方に足をかけていたら、そのうち海に落ちる。さっさと乗らないとダメだ。

短期的な成果の積み重ねで
大きな成果までたどり着こう

 次(第6段階)が短期的な成果を出す段階だ。この成果は誰のために出すかというと、もちろん、自分のために出す。あまりに長く成果が出ない期間が続くと、自分の心が折れてしまう。だから、「私はうまく行っている」と自己確認できるような成果を自ら演出することが肝要だ。

 小さなことでもいい。たとえば蕎麦打ち職人になりたいと思って修行を始めたとする。そうしたら、ある程度自信が出てきたら、蕎麦を打って、絶対に褒めてくれる人に食べさせればいい。だから、短期的成果というのは、自分を褒めてくれる私設応援団をどれだけ自分の周りに持てるかということに掛かって来るともいえる。

 ただここで間違えてはいけないのは、自分の配偶者や恋人は基本的に避けるべきだ。彼ら、彼女らはこの世で一番厳しい批評家だからだ。下手をすると、その反応に、それこそ心が折れてしまうかもしれない。

 いずれにしても、遠大な目標の前に、中間目標を置き、さらにぐっと手前に小さな目標を置くというのも一つの手段だと思う。普通、「エベレストに登るぞ!」と言われれば、「あんなところ登れないよ」で終わってしまう。そこで、「今回は3000メートルまで行こうよ」ということにする。意外と行けてしまう。そして、そこに立つ視界が変わる。高地順応もする。「じゃあさ、次は5000メートルまで行こう」と、そこでハードルを少し上げる。そうやって自分のある種の達成実感のマネジメントを行うのだ。

 このやり方で自分に自信がつく。さらに言えば、エンパワーして助けてくれる私設応援団が、そういう状況を見て、そこまで成果が出ているのであれば、もう少し強く応援しようと思ってくれる。資本を入れてくれるなんてこともある。

キャリアは予期せぬ偶然から生まれるもの
都合のいい偶然が起きるように挑戦を

 その頃になると、予期せぬ出来事も起こるだろう。それによって、軌道修正が必要になるかもしれないが、これは無理矢理修正されるのではなく、予期せぬ成果に導かれて、こっちの道と思っていたけど、ちょっとずらしてこっちがいいかもしれないというふうに軌道修正を行うのだ。これが変革プロセスの7段階目である。