今回は、前回に引き続き、ジョン・コッター教授が著した『企業変革力(Leading Change)』を応用しながら、50歳になってもたそがれない「自己変革力」を身に付ける講座の第2弾。では早速、変革を推進する8段階プロセスの3段階目から先について説明しようと思う(前回紹介した第0段階から第2段階までの解説はこちら)。

「企業変革力の8段階プロセス」
第1段階:危機意識を高める
第2段階:変革推進のための連帯チームを作る
第3段階:ビジョンと戦略を生み出す
第4段階:そのビジョンを広く周りに知らし、人を巻き込む
第5段階:広範囲の人にエンパワーメントして、変革を進める
第6段階:短期的成果を実現する(勢いをつける)
第7段階:成果を統合し、さらなる変革を推進する
第8段階:新しい方法を企業文化として定着させる

本当に“年収1000万円”は幸せか
「自分の幸せとは何か」に気づけ

 3段階目は「ビジョンと戦略を生み出す」。

 当然ながら、自分の人生はそんなに急に変えられない。どんなに短くても3ヵ月から半年、長ければ3年、5年とかかる場合もあるだろう。

 そこで重要になるのが、「最終的に自分はどうなったら幸せなのか」という幸せモデルを作ることだ。自己変革モデルにおける“ビジョン”である。ただそれは、決してエゴイスティックなものであってはいけない。自分の周りの人も幸せにするモデルでなくては、結局は自分も幸せになれないので、そこまで含めて自分の幸せとは何なのかということを考えなくてはならない。

 さらに言うと、多くの人は「他人の作った勝利の条件」に強く影響されて、自分の幸せを構成する要素を決めてしまっていることに気付かなくてはならない。

 たとえば、高収入を得られなくては幸せになれない、と言うこと。週刊誌の見出しではよく「年収1000万円」が登場する。こうなると誰しも高収入=年収1000万円と考え、1000万円以上の年収を稼げるようにならないと不幸だと、勝手に決めつけるようになる。

 こんなおかしなことはない。必要な収入の額は人によって異なるはずだ。1000万円稼いでいても足りない人もいるだろうし、500万円でも十分な人もいるだろう。

そもそも、幸せになるための条件に高収入がはたして必要なのかどうかも、人によって異なる。

 本当の自分の幸せの構成要素を明らかにする努力をしてほしい。その上で、その幸せを達成することをビジョンとするのだ。そのビジョンづくりにおいて、チームの仲間が、いわば壁打ちのための最高の壁になってくれるはずだ。

 ビジョンが決まったら、次にそのビジョンに向けてどういう段階を踏むべきかを考える。どう頑張っても、最終的なゴールに一足飛びには行けない。だから段階が重要になる。