ダイバーシティの時代が突きつける
若者の「無理っす」の一言に負けるな!

 リーダーの経験が長くても、世の中はどんどん変わっていくから、いつまでも同じスタイルのリーダーシップで対応できるかというと、それは難しい。

 たとえば、どの世代であっても世代間ギャップは感じるものだ。大人が子どもに、親父世代が若者世代に感じるというだけでなく、30代は20代後半の人を宇宙人のように理解できないということもしばしば聞く。

 私は大学で毎日のように学生に接しているが、自分とのギャップもさることながら、もっと細かな世代間ギャップも感じている。

 自分との世代間ギャップで言えば、たとえばこんな局面がある。私が学生に、「こういう研究テーマでやったらどう?」と言ったとする。そんなふうに声を掛けることすら、昔の先生とは違う。昔の先生は「こうやれ」と言い切るだけだった。それに対して私たちに用意されている答えはたった一つ、「はい」だけだった。

 ところが、最近の学生が多く口にする答えは、「無理っす」。最初は何を言っているのかわからなくて聞き返した。すると、「先生、無理っすよ、これ」と繰り返す。先生に「無理」だと即答するということ自体、正直私には理解できなかった。しかし、それが今という時代なのだ。

 こうした学生が、そのまま社会人になって、あなた方の前に現れる。

 そんな彼らに対して、いかにリーダーシップを発揮すればいいのか。「会社に入ったのだから、そんな学生気分は捨て、会社のルールに従え!」などと頭ごなしに怒鳴っても、何の足しにもならない。

 ダイバーシティ・アンド・インクルージョン(多様性を取り込む)の時代だ。だから、こんなことに一喜一憂している場合ですらない。

 外国人、しかもさまざまな民族の方と共に働く機会が増えている。性別や世代の違いを克服することですら、それほど簡単なことではないのに、国籍や民族、宗教など、さらなるダイバーシティを取り込み、適応することが求められている。

 つまりは、激変する環境に合わせて、自らの考え方、態度、そしてリーダーシップのあり方を変える必要があるということなのだ。