『お父さんと仲が良い』と答える歯科衛生士は、年配の患者さんと接するのが上手な子が多いんですよ――。

 以前、歯科衛生士を採用するポイントを、知人の歯科医師に尋ねたところ、こんな言葉が返ってきた。面接の際に「お父さんと仲が良いですか?」と尋ねることを、その歯科医師は、毎回、心掛けているという。もちろん、相手の家族構成や事情などを聴いた上での、失礼のない範囲の質問であることは大前提。そして、その回答は大きく二通りに分かれるという。

「とても仲がいいですよ」
 「あんまり仲良くないですね」

 最初、私にはこの質問の意図がよく分からなかった。しかし、その後の説明を聞いて、父親の立場で考えると「なるほど」と納得するところが多々あった。

「父親と仲の良い子は、年配者とのコミュニケーションに慣れているんですよ。対して、父親とあまり仲がよくない子は、年配者とどうやって接すればいいのか慣れていない。そのせいか、ちょっと戸惑ってしまうところがあるんじゃないでしょうか」

 その歯科医師は、そういいながらも、「まぁ、父親が好きだという子に対して、贔屓目な気持ちが出てしまうところがあるんですけどね」と笑いながら言葉を繋いだ。

「父親」という模擬面接官を通じて
コミュニケーション力を磨く子どもたち

 今回、内定を3つ以上獲得した人100人と、内定0個だった100人に対してアンケート調査を行い、父親とのコミュニケーション量が、就活にどのような影響を与えているのか調べてみることにした。

なぜ「父親と仲が良い子」は面接に強いのか

 内定を3つ以上獲得した人は、父親と「よく話す」「普通に話す」の合計が72%なのに対して、内定0個だった人は59%と、13ポイントも低い結果となった。