橘玲の世界投資見聞録 2014年5月29日

「泥棒も入らない貧乏長屋」と言われた
世界で3番目に小さい国・ナウル共和国の興味深い歴史
[橘玲の世界投資見聞録]

 ナウルには河川がなく、海水を真水にする淡水化工場に頼っていたのだが、操業がストップしてしまった。そのため島民は雨水を集めようとしているが、もう3週間ちかく雨が降っていないので困り果てているのだという。

 フォリエははその後、ダウンタウンのシビックセンターに連れて行かれた。1970年代の建物で、外壁がはがれかけている。ナウル銀行をはじめとして主な政府機関がこの建物のなかに入っていて、エアコンの効いた建物のなかにたくさんの島民がいる。国営のナウル銀行は島で唯一の金融機関だが、2週間にいちどしか窓口が開かず、今日がちょうどその日にあたるためみんな辛抱強く待っているのだという。

唯一の金融機関、国営のナウル銀行           ©木村昭二

 レジの説明によると、ナウル銀行には現金がなく、政府が約束した給料の支払日にしか窓口が開かない。ナウル人の大半は公務員だが、給料が不払いのことも多い。公務員の給料は大統領から家政婦まで全員同じで、2週間で140オーストラリアドル(2005年当時のレートで約1万2000円)と決まっているが、政府はそれすら払えないのだ。

 このときレジは、フォリエに驚くべきことをいう。

 「大統領や閣僚との会合があるから、2時間ほど君を1人にしてもいいかな」

 彼もまた公務員で、国外にあるナウルの国家資産の管理を担当していた。観光ガイドの仕事はアルバイトだったのだ。

ナウルは鳥の糞でできた島

 「ナウルは鳥の糞でできた島であり、糞の匂いがする糞ったれな島である」と、あるオーストラリアの弁護士はいった。

 ナウルは太古の昔から、北半球と南半球を行き交う渡り鳥の住み処で、その鳥の糞や死骸がサンゴ礁などと混ざり合ってナウルの地下に莫大なリン鉱石が形成された。

リン鉱石積み出しプラント©木村昭二

 リンは肥料として使われ、太平洋戦争後に外資系企業による本格的な採掘が始まると島はその利権で潤った。1970年代初頭の第一次オイルショックで天然資源の相場が高騰すると、ナウルの1人あたりGDPは2万ドル近くになり、アラブの産油国と並んで世界一ゆたかな国になった。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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